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手形抗弁 てがたこうべん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

手形抗弁
てがたこうべん

手形 (小切手) 上の請求を受けた者がその請求を拒否するために主張できる事由。いかなる抗弁事由でもすべての所持人に対抗できるとすると,手形の流通性を阻害するので,手形抗弁は人的抗弁物的抗弁とに分けられる。

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デジタル大辞泉の解説

てがた‐こうべん〔‐カウベン〕【手形抗弁】

手形上の請求を受けた者が、その請求を拒否するために主張しうる事由。

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世界大百科事典 第2版の解説

てがたこうべん【手形抗弁】

手形(小切手)金の請求を受けた債務者が,その請求者に対し支払を拒むために主張することができるすべての事由を手形抗弁という。これには,物的抗弁と人的抗弁とがある。 物的抗弁は,手形という物自体に付着する抗弁であり,取得者の善意・悪意を問わず,また被請求者と請求者とが手形授受の直接の当事者か否かを問わず,すべての請求者に対して主張しうる抗弁をいう。これには,手形債務負担能力がないこと,偽造・無権代理による手形行為であること,抗拒不能の状況下での署名であることなど,手形債務の成立を否定する抗弁と,手形上の記載から明らかな事由(手形要件の欠缺(けんけつ),満期未到来,手形の時効完成ほか)とがある。

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大辞林 第三版の解説

てがたこうべん【手形抗弁】

手形上の請求を受けたものが、これを拒否するために主張することができる事由。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

手形抗弁
てがたこうべん

手形によって請求を受けた者が、その請求を拒絶するために主張するいっさいの事由。手形債務者の利益と手形所持人の利益との調和を図るために、抗弁事由を、いわゆる物的抗弁と人的抗弁とに分け、前者についてはすべての所持人に対し主張できるが、後者はいわゆる人的関係に基づく抗弁であって、直接の相手方に対しては主張できるが、その後の所持人に対しては裏書により抗弁が切断されるため、対抗できないものとしている(手形法17条・77条1項1号)。
 物的抗弁には、手形の方式の欠缺(けんけつ)、満期の未到来、時効の完成など、手形の記載より生ずる抗弁と、行為者の無能力、手形の偽造・変造、無権代理など、手形行為の有効な成立を否定する抗弁とがある。前者は、手形の記載上明瞭(めいりょう)な抗弁であるから、これをすべての手形所持人に対抗できる物的抗弁としても、手形取得者を害するおそれはないが、後者は、手形面の記載によってはわからない抗弁事由であり、これを物的抗弁にすることは手形取得者にとって不利ではあるが、とくに手形債務者の利益を考慮し、これを物的抗弁と認めている。物的抗弁以外の手形抗弁が人的抗弁であり、手形債務者と特定の所持人との間の特殊な法律関係より生ずる抗弁である。これには、原因関係たる売買が無効または取り消された場合のような実質関係に基づく抗弁、意思の欠缺または瑕疵(かし)(詐欺・強迫)など手形行為の成立に関する瑕疵による抗弁、手形外の特約(支払いの猶予契約など)に基づく抗弁などがある。このような人的抗弁についてその切断を認めたのは、この抗弁が手形のその後の取得者に対してまで対抗できるものとすると、人的抗弁の存在を知らない手形の譲受人の利益を害し、手形取引の円滑性を期しがたいからである。もっとも、手形所持人が悪意である場合には、これを保護する必要がないので、人的抗弁の切断を認めていない。これを悪意の抗弁という。[戸田修三]

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