手絡(読み)テガラ

デジタル大辞泉 「手絡」の意味・読み・例文・類語

て‐がら【手絡】

丸髷まるまげなどの根もとに掛ける、飾りのきれ。色模様に染めた縮緬ちりめんなどを使う。
手絡わげ」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「手絡」の意味・読み・例文・類語

て‐がら【手絡】

〘名〙
婦人丸髷などの根もとに掛ける装飾用のきれ。縮緬を種々の色に染めて紋の柄にしたものが多い。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
※妻(1908‐09)〈田山花袋〉九「赤い手絡(テガラ)を懸けた丸髷の愛嬌のある神さんだった」
洒落本古契三娼(1787)「わたしは〈略〉手がらが〈これもよしはらのかみのふうなり〉すきさ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「手絡」の意味・わかりやすい解説

手絡
てがら

日本髪に用いる女性用髪飾りの一種。若い人用には桃色、緋(ひ)色、年配者用には水色浅葱(あさぎ)色などの縮緬(ちりめん)地に鹿(か)の子(こ)絞りを加工したもので、髷(まげ)に掛けて用いる。江戸時代末期には「まげかけ」といわれた。天保(てんぼう)の改革(1841~43)の際のぜいたく禁止令により縮緬の利用が止められ、それにかわり和紙を縮らせた縮緬紙が使用された。しかし、禁令が緩むにつれてふたたび縮緬が用いられ、これで女性の美しさを表現、今日なお続いている。

[遠藤 武]

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百科事典マイペディア 「手絡」の意味・わかりやすい解説

手絡【てがら】

日本髪の髪飾の一種。初めは〈まげかけ〉と称し,江戸初期から用いられた。未婚女性は緋縮緬(ひぢりめん)の鹿の子絞など,既婚女性は浅黄や紫を用いた。江戸末期には紙製絞染のものが庶民の間で流行した。

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世界大百科事典(旧版)内の手絡の言及

【髪飾】より

…近世,女子が下げ髪から髷を結うようになると,髪飾は飛躍的に発達し,多種多様なものがでてきた。江戸時代には,櫛,簪,笄のほか,掛物といわれる手絡(てがら),丈長(たけなが),根掛(ねがけ)などが用いられた。掛物は元結と共に,いわゆる日本髪に使われる髪飾である。…

【丸髷】より

…年齢が若いほどこの髷形が大きく,中年,老年と型も小さくじみになる。明治以降はこの髷の中に絹の鹿子絞りの手絡(てがら)を用い,装飾にした。これも若妻は赤地,中年は紫,藤色,浅黄など,老年は茶,黄土,鉄色,紺などを用い,手絡の色で年齢層が想像できた。…

※「手絡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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