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髪飾り かみかざり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

髪飾り
かみかざり

頭飾りのうち,髪を立体的に飾ることを目的にした付属品の総称。頭部全体を装飾し保護することを目的とするかぶりものとは区別される。この意味での髪飾りには,日本では古来,釵子 (さいし。ヘアピン一種) ,宝髻 (ほうけい) ,飾り (かんざし) , (こうがい) ,根掛け (髻の後部に掛ける布,金属,宝石などの装飾品) ,手絡 (てがら。女子の髷〈まげ〉の根もとにかける色模様の布地) ,丈長 (たけなが。髷を高くするための奉書紙の一種) などがあり,日本髪独自の結髪技法とともに大成した。他方,西洋では概してかぶりものやかつらと一体化している場合が多い。代表的なものにはコールやクリスピン (いずれもヘアネットの一種) ,フェロニエール (宝石入りの鎖冠) ,フォンタンジュなどのほか,リボン,造花,羽毛,ヘアピン,飾り櫛などがある。

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デジタル大辞泉の解説

かみ‐かざり【髪飾り】

髪を飾るもの。櫛(くし)・笄(こうがい)・かんざし・リボンなど。

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大辞林 第三版の解説

かみかざり【髪飾り】

髪を飾る、櫛くし・笄こうがい・かんざしなどの装飾品。また、それらで髪を飾ること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

髪飾り
かみかざり

頭髪に挿したり、巻いたり、あるいは髪の乱れを防ぐために用いる飾りもの。老若男女、世界各国、未開社会から文明社会まで広く使われる。身分などの尊貴のシンボルとして用いられたのに始まり、のちに一般化して現代的な性格をもつようになった。[遠藤 武]

日本

わが国では、古代から髪を飾る習慣があり、頭に挿すものを髻華(うず)、あるいは挿頭華(かざし)といい、また頭に巻くものを鬘(かつら)とよんだ。当初は自然のままの植物の花を使ったが、のち金属製のものとなった。男の場合は603年(推古天皇11)わが国に冠位制度ができたおりから、元日に髻華をつけることになった。のち皇子諸王諸臣はみな金髻華をつけたが、この制度が複雑化するにつれて銀、銅などが加わった。平安時代に宮中の年中行事が確立するとともに、宮中参内のおりに草花を飾りとしたが、冠や烏帽子(えぼし)の生活が日常化するにつれて、頭髪よりも被(かぶ)り物に飾りとしてつけた。もちろん、儀式、官位、身分によって一定の決まりがあった。
 女性の場合は、飛鳥(あすか)・奈良時代に衣服令が定められて、礼服を着用するおりには宝髻(ほうけい)にしたが、平安時代以降になって、盛儀のときに着用する女房晴装束には、髪上げをしてから釵子(さいし)を飾りとした。庶民生活のなかで髪飾りが用いられるようになったのは、下げ髪にかわって、髷(まげ)のある髪形ができた江戸時代からである。まず最初に櫛(くし)、笄(こうがい)、簪(かんざし)が挿され、これに加えて手絡(てがら)、丈長紙(たけなががみ)、根掛(ねがけ)、はね元結(もとゆい)などが用いられた。遊里における花魁(おいらん)の姿の華やかさから、町人の粋姿(いきすがた)にまで髪飾りはその一役を担ったのである。
 明治になり、日本髪より束髪が流行するようになって、日本的な髪飾りは一時減少した。明治末から大正初期にかけては松井須磨子(すまこ)が演じた『復活』にちなんで、ゴムの輪櫛(わぐし)が「カチューシャ」とよばれてふたたび少女たちの間で大流行した。第一次世界大戦後は断髪の流行やパーマネント・ウエーブの普及の余波を受けて、急速に髪飾りは減っている。しかし、正月などの晴れ着を着る際に新日本髪には髪飾りとしての花簪(はなかんざし)は必需品であり、打掛(うちかけ)姿の花嫁衣装には欠かせないものの一つでもある。[遠藤 武]

西洋

髪や頭部に用いる付属品のうちでも、概して装飾性の強いものをいう。英語のヘア・オーナメントhair ornamentにあたるが、より広義にはヘッド・ドレスhead dressの語が用いられる。この語には帽子、ベール、スカーフなどのヘッド・ギア(被り物)と、ヘアアクセサリー(付属品)、ヘアスタイル(髪形)、ヘアドゥ(結髪)を含む頭飾り全般が含まれ、明確に分類することはむずかしい。西洋の髪飾りの概念は、髪だけの孤立した装飾としてよりも、頭飾りないし服装全体での統一概念として把握しようとするところに、日本のそれとは異なった観念がみられる。
 髪飾りは形のうえから次のように分類される。(1)髪を固定するヘアピン、ヘアクリップ(いずれも毛留め)の類。(2)頭や髪に巻くヘアレース、ヘアバンド(細長い紐(ひも)やリボン)の類。(3)ヘアリング(飾り輪)、ティアラ(小宝冠)の類。(4)ヘアネット。(5)櫛(くし)。(6)その他。
 原始時代には、髪を束ねる細紐や細工した櫛とともに、自然の植物や鳥の羽などで髪を飾っていたと考えられる。古代世界では種々のヘアバンド、ヘアリングの類が用いられ、たとえば古代エジプトの女性は、ロータス(蓮(はす)の花)の花冠やリボン状のフィレット(頭帯)を用いていた。かつらや冠の上につけた細い紐状のリングレットは、古代ギリシアになるとダイアデムとよばれる。また女子の髪飾りは総じてステファーネとよばれた。金属製の大きな半月形のそれは、花冠や月桂冠(げっけいかん)とともに、古代ギリシアを代表する髪飾りである。ダイアデムやティアラは引続き古代ローマでも用いられ、ミトラあるいはコロナとよばれ、のちにクラウン(冠)へと発展する。
 中世の髪飾りはヘアネットに代表される。金糸製のヘアネットには多彩な装飾を施したものもあった。ルネサンス期になると、これに真珠や宝石の類が編み込まれてゆく。宝石を鎖や紐で額の真ん中に巻き付けて飾るフェロニエールは、16世紀に登場しているが、後の19世紀初頭にふたたび流行をみることになる。
 17世紀末から18世紀初頭にかけて、婦人の間でフォンタンジュが大流行となった。これは装飾的なキャップ(帽子)の一種で、前頭部を高く、レースやリネンを糊(のり)付けしたフリルの飾りがついていた。18世紀後半には、一時期、巨大なかつらが用いられ、ありとあらゆるものが髪飾りとして利用された。羽、宝石、リボン、造花、果物、麦の穂、ときには帆船、剥製(はくせい)の鳥、果樹園の模型まであった。フランス革命を経てファッションはしだいに落ち着きを取り戻し、髪は概して自然な形に重点が置かれてくる。19世紀以降には、髪飾りはしだいに小型化してくるが、従前のもののリバイバルも含めて、種類はきわめて多様になってゆく。現代の髪飾りは、特殊な場合を除いて、簡単で実用性の強いものが多い。飾りピン、リボン、造花、羽毛、ヘアバンド、小さな飾り櫛などが主で、若い女性の間ではカチューシャとよばれる細いヘアバンドが、またインディアン風のヘアバンドやバンダナ(スカーフ)を利用したものは男性にも愛用されている。[平野裕子]
『岩瀬京山著『歴世女装考』(『日本随筆大成 第3巻』所収・1927・吉川弘文館) ▽喜多川守貞著『類聚近世風俗志』復刻版(1934・更生閣) ▽都新聞付録『都の華』1~73号(1897~1903・都新聞社)』

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