打破る(読み)ウチヤブル

デジタル大辞泉 「打破る」の意味・読み・例文・類語

うち‐やぶ・る【打(ち)破る】

[動ラ五(四)]
強い力でたたき壊す。「ドアを―・る」
(「討ち破る」とも書く)相手を攻めて負かす。撃破する。「大敵を―・る」

㋐「破る」を強めていう語。「沈滞を―・る」
㋑捨て去る。
「如何なる用事をも事情をも打捨て―・って、飛で帰りたく」〈独歩・帰去来
[可能]うちやぶれる
[類語]討つ打ち倒す薙ぎ倒す倒す打ち負かす打ち取る打ち果たすやっつける撃破打倒

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打破る」の意味・読み・例文・類語

うち‐やぶ・る【打破】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. たたいて壊す。うちくだく。
      1. [初出の実例]「天中有光物〈略〉須臾破裂如破炉、火散空中了」(出典明月記‐治承四年(1180)九月一五日)
      2. 「あかり障子打やぶり」(出典:浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)二)
    2. 敵を攻めて負かす。撃破する。突破する。
      1. [初出の実例]「そこをもうちやぶりのぼるほどに、越前の国にせめ入り給ひけり」(出典:承久軍物語(1240頃か)三)
      2. 「天皇驚き逃れて、笠置山にたてこもり給ひしが、官軍遂に打ちやぶられ」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉六)
    3. 物にあてたりして傷つける。
      1. [初出の実例]「道中にて転び倒れ、顔を擦り剥き足を打やぶり」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)四)
    4. ( 「うち」は接頭語 ) ほったらかす。捨て去る。
      1. [初出の実例]「草庵に暫く居ては打やぶり〈芭蕉〉 いのち嬉しき撰集のさた〈去来〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)
    5. ( 「うち」は接頭語 ) 議論や運動の試合などで相手を負かす。
      1. [初出の実例]「稍有ってまた姉の言葉を打(ウ)ち破(ヤブ)る言ひ草を考へ出しました」(出典:雨の日ぐらし(1891)〈山田美妙〉糸犬一郎)
    6. ( 「うち」は接頭語 ) 興行が大当たりをとる。
      1. [初出の実例]「竹本義太夫曾根崎の心中で打破たの」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 「うち」は接頭語 ) 裂ける。切れて分かれる。
    1. [初出の実例]「うちやぶれたるびゃうぶ一よろひばかり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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