倒す(読み)タオス

デジタル大辞泉 「倒す」の意味・読み・例文・類語

たお・す〔たふす〕【倒す】

[動サ五(四)]
力を加えて、立っている状態のものを横にする。横にねかす。また、ころばす。「木を―・す」「からだを―・す」「足をかけて―・す」
(「殪す」「斃す」「仆す」とも書く)殺す。「銃で―・す」「一刀のもとに―・す」
勝負相手を打ち負かす。打ち破る。「優勝候補のチームを―・す」
政体国家などを存続できなくする。くつがえす。滅ぼす。転覆する。「内閣を―・す」「幕府を―・す」
借りた金を返さず、相手に損害を与える。ふみたおす。「飲食代を―・す」
動詞の連用形に付いて、徹底的に…するの意を表す。「使い―・す」「遊び―・す」
[可能]たおせる
[類語](1ひっくり返すくつがえ転がす転ばすかす裏返す翻す跳ね返す転覆逆転逆様(横にする)寝かす横たえる/(3破る討つ討ち果たすなぎ倒す打ち破る打ち負かす打ち取る下すほふやっつける打倒するノックアウトする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「倒す」の意味・読み・例文・類語

たお・すたふす【倒】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 立っている物を横にする。ねかす。
    1. [初出の実例]「この林より西に、木をたふす斧の声、遙かに聞こゆ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. 人などをころばす。ころげさせる。
    1. [初出の実例]「又、賊衆(あたとも)戦死(たたかひう)せて屍(かはね)を僵(タフシ)」(出典:日本書紀(720)神武即位前(寛文版訓))
  4. 国家、政府などをくつがえす。滅ぼす。
    1. [初出の実例]「元を殪(たふ)して旧に復し大明一統の世となりたるは」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉一)
  5. 中世、土地などにかかわる権益を否定する。
    1. [初出の実例]「且木嶋新庄当寺免田参町余被倒畢、人用者非本免之故也」(出典:久米田寺文書‐宝治二年(1248)一二月五日・関東下知状)
  6. 殺す。死なす。
    1. [初出の実例]「畜(けもの)仆志(タフシ)」(出典:延喜式(927)祝詞(出雲板訓))
  7. 勝負をして、負かす。戦って相手をうち負かす。「強敵をたおす」
  8. 人をだます。特に、外見や評判などで相手を屈伏または失敗させる。
    1. [初出の実例]「ネイジンワ ヒトヲ イイ tauosu(タヲス)〈訳〉人にへつらい、真心のない人は他人を駄目にする」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 「一度ならず二度三度、此前髪に倒されたと」(出典:浄瑠璃・京羽二重娘気質(1764)四)
  9. 他人に金銭上の損害を与える。支払うべき金を支払わない。ふみたおす。
    1. [初出の実例]「主にかかりは、おやかたをたをし」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)六)
    2. 「山井の倒すのは下宿屋ばかりでない。出版商からは原稿料を前借して其のまま本は書かず」(出典:腕くらべ(1916‐17)〈永井荷風〉一三)
  10. ( 動詞の連用形に付いて ) 徹底的に…する。…し通す。「値切りたおす」
    1. [初出の実例]「とにかく、徹底的に野次りたおされたので」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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