[解説] 「拱手」は腕をこまねくこと。つまりは腕組みすることです。単に腕を組んで傍観している、という意味です。類語に、腕を袖に入れて見ている「袖手傍観」や、何も持たないで見ている「徒手傍観」というのもあります。 「拱」は、昔の中国で、礼儀正しく両腕を組むことを指しました。今では単に腕を組む意味になり、訓読して「こまぬく」または「こまねく」と読みます。 N H Kのアクセント辞典では、かつて「こまぬく」を採用し、「こまねく」は使わないことにしていました。ところが、やがて「こまねく」も併記するようになり、現在では「こまねく」が主、「こまぬく」は許容扱いになりました。ことばの標準が変わった一例です。 「拱手」の音読みは、「きょうしゅ」のほか、慣用的に「こうしゅ」とも読まれます。辞書にも両方あります。会話で使われることが少ないことばなので、どちらの読み方が優勢とは言えません。一方を誤りとはしないのが妥当です。