拱手傍観(読み)キョウシュボウカン

デジタル大辞泉 「拱手傍観」の意味・読み・例文・類語

きょうしゅ‐ぼうかん〔‐バウクワン〕【×拱手傍観】

[名](スル)手を出さないで、ただ、ながめていること。
[類語]傍観静観黙視座視腕をこまねく高みの見物

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精選版 日本国語大辞典 「拱手傍観」の意味・読み・例文・類語

きょうしゅ‐ぼうかん‥バウクヮン【拱手傍観】

  1. 〘 名詞 〙 何も手をくださないで、わきでながめていること。こうしゅぼうかん。
    1. [初出の実例]「間崎は拱手傍観して自己の被虐使性を甘やかして居た訳ではない」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上)

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四字熟語を知る辞典 「拱手傍観」の解説

拱手傍観

何も手をくださないで、わきでながめていること。

[活用] ―する。

[使用例] それまで去就に迷って拱手傍観していました諸将も続々と北条勢に来り投じ、ついに和田氏御一族全滅のむざんな結末と相成りました[太宰治・右大臣実朝|1943]

[使用例] わが藩としても拱手傍観はできません、すぐさま奉行所の人数を繰出して、この宿の見張りをさせましょう、あなたはゆっくり休息して下さい[山本周五郎ひとごろし|1964]

[使用例] しかも米沢は、たいら城攻防戦のときにも拱手傍観の態度をとって、同盟に対して熱意のないことは、すでに官軍側にも明らかになっていた[安岡章太郎流離譚|1981]

[解説] 「拱手」は腕をこまねくこと。つまりは腕組みすることです。単に腕を組んで傍観している、という意味です。類語に、腕を袖に入れて見ている「しゅうしゅ傍観」や、何も持たないで見ている「徒手傍観」というのもあります。
 「拱」は、昔の中国で、礼儀正しく両腕を組むことを指しました。今では単に腕を組む意味になり、訓読して「こまぬく」または「こまねく」と読みます。
 N H Kのアクセント辞典では、かつて「こまぬく」を採用し、「こまねく」は使わないことにしていました。ところが、やがて「こまねく」も併記するようになり、現在では「こまねく」が主、「こまぬく」は許容扱いになりました。ことばの標準が変わった一例です。
 「拱手」の音読みは、「きょうしゅ」のほか、慣用的に「こうしゅ」とも読まれます。辞書にも両方あります。会話で使われることが少ないことばなので、どちらの読み方が優勢とは言えません。一方を誤りとはしないのが妥当です。

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