「りっかしゅう」ともいう。『長秋詠藻(ちょうしゅうえいそう)』(俊成(しゅんぜい))、『秋篠月清集(あきしのげっせいしゅう)』(良経(よしつね))、『拾玉(しゅうぎょく)集』(慈円)、『山家(さんか)集』(西行(さいぎょう))、『拾遺愚草(しゅういぐそう)』(定家(ていか))、『壬二(みに)集』(家隆(いえたか))と、新古今時代の代表的歌人6人の家集。「六歌仙」『古今和歌六帖(じょう)』などの「六」に倣って6人を選ぶ。室町末期ごろ集成が行われたと考えられ、牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく)による抄出本『六家抄』もある。『類題六家集』『独看(どくかん)和歌集』(後鳥羽(ごとば)院の詠も加わる)の類題集の板行もみられ、また『六家抄注』もあり、後世への影響も大きなものがあった。
[後藤重郎]
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…また,詞書と和歌と相まって,《伊勢集》《篁(たかむら)物語》のような恋物語的なものや《成尋阿闍梨母集(じようじんあじやりははのしゆう)》のような日記,紀行的なものなどは,物語や日記,紀行文学などへ発展する萌芽を内蔵している。和歌史の展開に応じて,院政期のころから,私家集は文芸本位の傾向が顕著となり,鎌倉時代にかけて,《散木奇歌(さんぼくきか)集》(源俊頼)や六家集と呼ばれる《長秋詠藻》(藤原俊成),《山家(さんか)集》(西行),《拾遺愚草》(藤原定家),《秋篠月清(あきしのげつせい)集》(藤原良経),《拾玉集》(慈円),《壬二(みに)集》(藤原家隆)など,質量ともに優れたものが生まれた。《金槐和歌集》(源実朝),《建礼門院右京大夫集》もまた,当時の特異な家集である。…
…藤原家隆の他撰歌集。〈六家集〉の一つ。1245年(寛元3)ころに原撰本が成立。…
…しかし《古今集》序に記されたということと藤原定家の称揚により,後世にいろいろの形で影響が見られる。すなわち,三十六歌仙というのも6を2乗した数であり,〈六家集〉――藤原俊成《長秋詠藻》,藤原良経《秋篠月清集》,慈円《拾玉集》,西行《山家集》,藤原定家《拾遺愚草》,藤原家隆《壬二集》の六つの家集を集成したもの――というのも,六歌仙の呼称を変形踏襲したものである。また,黒主を悪人にしたてた謡曲《草紙洗(そうしあらい)》のほか《関寺小町》《卒都婆小町》など,六歌仙に材をとった謡曲は多く,《六歌仙容彩(すがたのいろどり)》など歌舞伎にも,六歌仙に材をとった作が多い。…
※「六家集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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