損害担保契約(読み)ソンガイタンポケイヤク

デジタル大辞泉 「損害担保契約」の意味・読み・例文・類語

そんがいたんぽ‐けいやく【損害担保契約】

当事者一方他方に対して、一定事項または事業などから受けるかもしれない損害塡補てんぽすることを約する契約。

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精選版 日本国語大辞典 「損害担保契約」の意味・読み・例文・類語

そんがいたんぽ‐けいやく【損害担保契約】

  1. 〘 名詞 〙 当事者の一方が、他方の当事者に対して特定の事項についての危険を引き受け、危険から生ずる損害を填補(てんぽ)することを約する契約。

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改訂新版 世界大百科事典 「損害担保契約」の意味・わかりやすい解説

損害担保契約 (そんがいたんぽけいやく)

ある者(担保者)が他の者(被担保者)に対して,一定の事項または一定の事業につき,その者が受けるかもしれない損害を塡補(てんぽ)することを約束する契約。たとえば,AがB主催の演奏会を後援し,Bに損失が生じたらAがこれを塡補することを約束するとか,BがCを雇用するにあたって,CのためBがこうむるかもしれない損害をAが担保することを約束する(身元引受け)などの契約をいう。このように,損害担保契約の中には,主たる債務者にあたる者が具体的に特定されない場合(前者の例)と,それが具体的に定まっていて(後者の例)保証に類似するものとがある。しかし,いずれにせよ,損害担保契約は,保証とは違って,主たる債務の存在を要件とせず,担保者は債権者(被担保者)に対して独立の塡補責任を負う。つまり,付従性を有していない。たとえば,前に掲げた身元保証の例でいえば,Cが病気などその責めに帰すことのできない事由でBに損害をかけた場合,Cは債務を負わないが,担保者であるAはBの損害を塡補する責任を負う。また,損害担保契約の担保者は〈催告抗弁権〉や〈検索の抗弁権〉を有していない(抗弁権)。つまり,補充性を有していない。たとえば,前の例では,担保者Aは,まずCに履行を催告せよとか,Cの財産に執行せよとか抗弁することができないわけである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「損害担保契約」の意味・わかりやすい解説

損害担保契約
そんがいたんぽけいやく

ある者(担保者)が他の者(被担保者)に対して、一定の事項につき、その者が被った損害を填補(てんぽ)することを約する契約。たとえば演奏会を後援し、損失が生じたらこれを填補することを約するなど。主たる債務を前提としてそれに付従する保証債務とは違って、担保者は債権者に対して独立の填補責任を負う。つまり付従性を有していない。また担保者は債告の抗弁権や検索の抗弁権をも有していない。

淡路剛久

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世界大百科事典(旧版)内の損害担保契約の言及

【身元保証】より


[法律的性質]
 BがA会社の金を使い込んだとか,第三者をはねてA会社に損害賠償責任を負わせたなどの場合には,BはA会社に対して損害賠償責任を負っており(不法行為責任または債務不履行責任),これ(主たる債務)をCが担保しているのであるから,その性質は一種の保証債務(将来債務の保証または根(ね)保証)である。これに対して,Bの病気によってA会社がこうむった損害をCが塡補すべき場合は,主たる債務が存在しないから,一種の損害担保契約である。これを身元引受けなどと呼んでいる。…

※「損害担保契約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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