切取りや盛土をした法面(のりめん)(斜面のこと)が,自然のままでは土の圧力で崩壊するおそれのあるとき,土圧に抵抗して土の崩れるのを防ぐためにつくられる壁状の構造物。擁壁は石積(コンクリートブロック積)擁壁とコンクリート擁壁の2種に大別され,コンクリート擁壁はその構造により,さらに重力式擁壁,半重力式擁壁,片持梁式擁壁,控え壁擁壁,支え壁擁壁(控え壁擁壁と支え壁擁壁の二つを扶壁(ふへき)あるいはバットレスbuttressという),特殊擁壁などに分類される。石積擁壁は石を積み上げてつくるもので,一般の土木工事,道路,河川,鉄道などで法面の高さが低い場合に盛んに使用される。この工法は日本では古くから利用され,もっともふつうに用いられる截頭(せつとう)四角錐状で大小二つの面(つら)をもった石を間知石(けんちいし)と称し,城の石垣はこれの代表的構築物である。最近は天然の石材のほかにコンクリートで間知石のような形のブロックをつくり,石積擁壁の代りとするコンクリートブロック擁壁が盛んに使用されている。重力式擁壁は主として擁壁自体の重さで土圧に耐えるようにしたもので,ほとんどコンクリート(無筋コンクリート)によってつくられているが,石,煉瓦なども用いられる。半重力式擁壁,片持梁式擁壁,控え壁擁壁,支え壁擁壁は鉄筋コンクリートでつくられ,擁壁の高さが高くなり重力式擁壁では断面が大きくなって不経済となる場合に用いられる。
執筆者:中村 靖
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
土圧に抵抗して土の崩壊を防止する土止め壁。壁の自重、底面の摩擦などによって安定を保つ抗土圧構造物で、壁の背面に作用する土圧およびその土の上に載る荷重、地震力、地盤の支持力などを条件として、構造部材の安全性と、擁壁全体の転倒や滑り出しに対する安定性を確保するよう設計されている。
擁壁の種類は、構造によって、重力式擁壁、半重力式擁壁、片持ち梁(ばり)式擁壁、控え壁式擁壁、支え壁式擁壁、石積・ブロック積擁壁、特殊擁壁などに分けられる。重力式は、主として擁壁の自重により安定を保つ形式で、一般に無筋コンクリート造で高さが3~4メートル程度以下の小型の擁壁に用いられる。半重力式は、重力式と片持ち梁式の中間的な形式で、鉄筋コンクリート造であるが鉄筋量はきわめて少ない。片持ち梁式は、縦壁と底板からなる鉄筋コンクリート造で、通常3~7メートル程度の中型の擁壁に用いられる。控え壁式および支え壁式擁壁は、片持ち梁式擁壁に控え壁もしくは支え壁式を付したもので、一般に6~7メートル程度以上の擁壁に用いられることが多い。石積・ブロック積擁壁は、石またはブロックを積み重ねたもので、施工が容易であり古くから広く用いられている。
以上のほか特殊な形式として、棚式擁壁、棚付控え壁式擁壁、箱形擁壁、矢板式擁壁、枠式擁壁、補強土工法による擁壁などがある。
[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]
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