民事訴訟法上、口頭弁論または弁論準備手続において、当事者が相手方主張の事実を明らかに争わないためにその事実を自白したとみなされること。民事訴訟では原則として弁論主義が採用され、当事者間に争いがある事実のみを証拠によって認定するとする結果、擬制自白の場合も、当事者間に争いがないものとして証拠調べが不要とされる。なお、当事者が2回目以降の続行期日に出頭しない場合は、相手方の主張事実を知らないであろうから、争わないことがありえる。そのときも擬制自白が成立する。したがって、裁判所は、擬制自白があれば、その事実の真否を認定せず、ただちに裁判の基礎としなければならない。ただし、争ったか否かは、弁論の全趣旨をも総合して判断する(直接口頭で争わなくとも、態度から争ったと考えられるときは、擬制自白は成立しない)。したがって、口頭弁論終結時までに争えば(ただし、時機に後れたとして、争うことが却下されることがある)自白とみなされないことになる。
[本間義信]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また間接事実や補助事実の自白も裁判所を拘束しないとされる。 当事者が口頭弁論または準備手続において相手方の事実主張を明らかに争わないときは,これを自白したものとみなされる(擬制自白)。当事者が口頭弁論期日に欠席したときも同様である。…
※「擬制自白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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