改正出入国管理法

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

改正出入国管理法

外国人労働者受け入れの拡大に向け、昨年12月に成立した。政府は5年間で最大約34万人の受け入れを見込む。新たな在留資格を設け、介護外食など14分野で就労を認める。「特定技能1号」は一定程度の技能と日常会話レベルの日本語能力が、「2号」では熟練した技能が必要となる。

(2019-03-06 朝日新聞 朝刊 静岡・1地方)

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知恵蔵の解説

改正出入国管理法

日本人や外国人が日本に入国または出国する際の手続き、外国人については在留資格や不法入国、難民認定などを規定した出入国管理及び難民認定法(出入国管理法)と法務省設置法の一部を改正する法律。中小企業を中心に深刻化している人手不足を緩和するため、日本での労働を希望する外国人を対象に、新たな在留資格を創設し、介護や外食業などの特定の単純労働分野で外国人労働者の受け入れを拡大する。2018年11月2日に閣議決定されて衆議院に提出され、同年11月27日に開かれた衆議院本会議で、自民、公明両党と、日本維新の会などの賛成多数で可決した。更に、12月8日未明に参議院本会議で可決、成立した。法律の施行は19年4月1日。施行から2年後に制度を検証し、必要があれば見直す。
改正の内容は、次の通り。新たに「特定技能1号」と「特定技能2号」という在留資格を設け、生産性の向上や日本人労働者の確保に取り組んでもなお人手が必要な分野で外国人の就労を認める。1号資格は、日常会話レベルの日本語能力試験と、受け入れ分野で活動するために必要な知識や経験を測る試験などに合格すれば取得できる。在留期間の上限は通算5年で、家族の帯同は基本的に認めない。1号資格の保有者は、受け入れ分野で更に難しい知識や技能を求める試験に合格し、その分野において熟練した技能があると認められれば、2号資格へ移行できる。2号資格の保有者は、定期的な審査を受けることにより事実上の永住が可能で、家族の帯同も認められる。
政府は改正案の提出時点で、(1)介護業(2)ビルクリーニング業(3)素形材産業(4)産業機械製造業(5)電気・電子情報関連産業(6)建設業(7)造船・舶用工業(8)自動車整備業(9)航空業(10)宿泊業(11)農業(12)漁業(13)飲食料品製造業(14)外食業の14業種で新たな在留資格の運用を検討している。政府が公表した特定技能1号の受け入れ見込み数では、19年度から5年間で累計26万2700人から34万5150人の外国人労働者を受け入れる。業種別に見て、介護業が最も多く5年間で最大6万人、次いで外食業では最大5万3000人。最も少ない航空業は最大2200人。政府は、18年11月時点で、これらの14業種で58万6400人の人手が不足しており、5年後には145万5000人に増えると試算している。
また、外国人労働者の受け入れ拡大に備えて、法務省の内部部局である入国管理局を外局に格上げし、「出入国在留管理庁」を新設する。外国人労働者が円滑に就労できるよう、受け入れ先や出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」が、生活ガイダンスや日本語の習得など日常生活を含めた支援を行うことなども盛り込まれた。
現在、就労目的の在留資格を得られる外国人は、医療や学問、法律など専門的・技術的分野に限られており、人手不足が深刻な外食業などでは、技能実習生や留学生のアルバイトが貴重な労働力の担い手となっている。しかし、技能実習生の本来の目的は開発途上国への国際協力で、在留期間は最長5年。留学生もアルバイトなどの資格外労働は週28時間以内に制限されている。

(南 文枝 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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