教育番組（読み）きょういくばんぐみ

精選版 日本国語大辞典

きょういく‐ばんぐみケウイク‥【教育番組】

1. 〘 名詞 〙 教育を目的としたラジオ・テレビ放送の番組。
   1. [初出の実例]「教育番組や教養番組が、たとえ面白くなくても」(出典：放送よもやま話（1981）〈坂本朝一〉I )

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

教育番組
きょういくばんぐみ

放送法によれば教育番組とは「学校教育または社会教育のための放送番組をいう」とある。一方、教育番組の企画・編集および放送にあたっては、同じく「その放送の対象とする内容がその者に有効適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画および内容をあらかじめ公衆が知ることができ、（中略）当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない」と性格を規定し、とくに学校教育向けの番組については内容の範囲を限定し、制作者側が考慮しなければならない点を明確にしている。

［篠原文陽児］

教育番組の分類

教育番組は、視聴者により、成人向け、青少年向け、幼児向けなど、内容により、学校放送番組、科学番組、通信教育番組などに分類される。しかし、これらはあくまでも制作者側の分類である。視聴者側での分類・定義はきわめて困難であるといえる。印刷・通信技術の発展、とくにインターネット上のホームページによる情報の公開と閲覧のしやすさは、視聴者側の興味・関心の広がりと計画的情報収集意欲の高揚とともに、すべての番組内容を事前に知ることを可能とし、制作者側にあっては組織的・継続的番組制作を可能にしている。したがって、先に掲げた「教育番組」でなくても、視聴者が教育的に価値ありと判断して、学校教育や社会教育の諸活動のなかで活用すれば、教育番組に分類しうる番組が多いということである。とくに科学、美術、世界史、日本史などにおいては、「教育番組」以外で、優れた教育的価値のあるドキュメンタリー、ニュースなどの一般番組をみいだすことができる。

　そこで視聴者側では、番組の制作意図を探求し、学校教育や社会教育で有効に活用できる番組を見分け、積極的に放送を活用していく目を養う必要がある。今日、自主制作映像などを自由に発信できる機能を備えたパーソナルコンピュータも広くみられ、ますます放送と通信の垣根がなくなってきている。こうしたなかで、番組など映像情報一般を批判的に読み解く能力を「メディアリテラシー」とよび、その育成方法や内容が課題となっている。

［篠原文陽児］

『アート・シルバーブラット他著、安田尚監訳『メディア・リテラシーの方法』（2001・リベルタ出版）』▽『山登義明著『テレビ制作入門――企画・取材・編集』（平凡社新書）』

[参照項目] | 教育放送 | 放送法 | メディアリテラシー

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内の教育番組の言及

【放送番組】より

…
［番組の分類］
　(1)番組を内容で大別すると，報道，教育，教養，娯楽になる。放送法はNHKに〈国内放送の放送番組の編集に当っては……教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け，放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない〉と規定し(44条4項)，この規定は民放局にも準用される(51条)。民放テレビ局の教育･教養番組については，教育専門局として1957年2月に予備免許を受けた日本教育テレビには教育番組53％以上，教養番組30％以上を義務づけたし，同年10月に予備免許のあった準教育専門局3局(読売テレビ，毎日放送，札幌テレビ放送)には教育･教養番組50％以上という条件がついた。…

※「教育番組」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」