日本大百科全書(ニッポニカ) 「教育放送」の意味・わかりやすい解説
教育放送
きょういくほうそう
狭義には学校教育目的のための、いわゆる学校放送をいうが、広義には一般国民対象の社会教育あるいは生涯教育、教養放送を含む。日本の放送法令上、教育放送を行う放送局または放送系統とは、1週間の放送時間において、そのための番組の放送が50%以上を占めるものとされ、教育番組の放送時間が100%に満たないものの場合には、その残りの放送時間の大部分が国民の一般的教養の向上を直接の目的として行う放送によって占められているものとされる(郵政省令「放送局の開設の根本的基準」)。このようなものとしては、NHKラジオの第2放送とNHK教育テレビジョンがある。このほか、放送大学学園法(昭和56年法律80号)の成立によって、1985年(昭和60)4月から政府の全額出資による放送大学の放送による授業が行われており、日本に大学教育水準の国営の教育放送が追加されたことになる。放送大学は、98年(平成10)1月から通信衛星を利用したCSデジタル放送で行われており、これによって、全国どこでも利用できるようになった。
狭義の教育放送の番組は、その対象が明確で、放送が組織的で継続的であり、その放送の計画および内容をあらかじめ公衆が知ることができること、とされている(前出「基準」)。現実には生涯教育への需要の拡大により、一般の視聴者を対象とした広義の教育放送番組、いいかえれば教養番組が増加している。それらの教養番組は、制作手法的にも視聴者にとって魅力あるものとする努力が払われている。
[後藤和彦]