弾道ミサイルの発射基地など敵国の基地や拠点などを攻撃する装備能力。敵基地攻撃能力に関する日本政府の見解は次の通りである。「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います」(鳩山(はとやま)一郎首相答弁、船田中防衛庁長官代読、昭和31年2月29日衆議院内閣委員会15号)。
実際の敵基地攻撃は、航空機による敵基地攻撃の場合、戦闘機の管制機能をもつ空中早期警戒管制機(AWACS)に指揮された戦闘機が空中給油を受けながら長距離を飛行し、敵基地に接近すると電子戦機が妨害電波を出して敵の地上レーダーを撹乱(かくらん)する。さらに、戦闘機は対レーダーミサイルを発射して敵のレーダーを破壊する。このようにして敵の防空網に突破口を開けた後、戦闘機がレーザー誘導爆弾等を投下して敵基地や弾道ミサイルの移動式発射台を破壊する。また、敵の指揮施設や地対空ミサイル陣地などの地上固定目標に対しては、衛星利用測位システムを利用した精密誘導兵器である巡航ミサイルや弾道ミサイルも使用される。その他、特殊部隊が敵基地に侵入し破壊する方法もある。
[村井友秀]
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
1/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
12/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新