文化国家(読み)ブンカコッカ(その他表記)Kulturstaat ドイツ語

デジタル大辞泉 「文化国家」の意味・読み・例文・類語

ぶんか‐こっか〔ブンクワコクカ〕【文化国家】

警察国家法治国家などの理念に対して、文化発展向上を指導理念とする国家。19世紀中葉のドイツで成立した国家理念。

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精選版 日本国語大辞典 「文化国家」の意味・読み・例文・類語

ぶんか‐こっかブンクヮコクカ【文化国家】

  1. 〘 名詞 〙 文化を指導理念とした国家。家産国家・警察国家・法治国家などの国家理念に対立するものとして、一九世紀中葉のドイツで成立した国家理念。
    1. [初出の実例]「されば孰れの文化国家に於ても」(出典:新小説‐大正五年(1916)二月号・街頭の群集〈大山郁夫〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文化国家」の意味・わかりやすい解説

文化国家
ぶんかこっか
Kulturstaat ドイツ語

警察国家や家産国家などの絶対主義国家理念に対立するものとして、19世紀初めドイツで成立した国家理念。当時のドイツでは近代自由主義国家の成立する客観的条件が欠如していたので、観念論政治哲学者の間で理念的に絶対主義国家を克服すると同時に、人間の外面的自由のみの実現を目ざすイギリス、フランスの近代自由主義国家をも止揚する国家理念が構想されたが、それが文化国家であった。それは、その達成が強く待ち望まれていた最高の自由と倫理性が実現されるドイツ民族統一国家の理想像でもあった。その後、ドイツ民族の歴史的使命はこの文化国家の実現にあるという主張がなされ、実際、ドイツ帝国を正当化するイデオロギーの機能を果たした。ところが、それが広義権力国家に対立する国家理念として大衆に受けやすい語感をもっているためか、戦後日本で軍国主義的な天皇制国家崩壊後の空白を埋める国家理念として主張されたことがあった。

[安 世舟]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文化国家」の意味・わかりやすい解説

文化国家
ぶんかこっか
Kulturstaat

18~19世紀のドイツで主張された国家理念であって,国家を民族文化,民族精神理想に近づけようとする考え方をいう。だがこれを広く解釈すると,国家は文化の形成,発展に寄与しなければならないとする考えであるといえる。第2次世界大戦後日本に取入れられた文化国家の観念はこれである。

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