文屋康秀(読み)フンヤノヤスヒデ

デジタル大辞泉 「文屋康秀」の意味・読み・例文・類語

ふんや‐の‐やすひで【文屋康秀】

平安前期歌人六歌仙一人。文琳とも称した。古今集に和歌5首が伝わっている。生没年未詳。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「文屋康秀」の意味・読み・例文・類語

ふんや‐の‐やすひで【文屋康秀】

  1. 平安初期の歌人。六歌仙、中古三十六歌仙の一人。文琳とも称した。小野小町交渉があったと伝えられる。生没年未詳。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「文屋康秀」の意味・わかりやすい解説

文屋康秀 (ふんやのやすひで)

平安初期の歌人。六歌仙の一人。生没年不詳。《古今集》巻十六に深草帝仁明天皇)の没した850年(嘉祥3)のおそらく翌年に詠んだと思われる歌がある。官は860年(貞観2)に刑部中判事。三河掾,山城大掾をへて879年(元慶3)縫殿助。《古今集》には,文屋康秀が三河掾になって県見(あがたみ)に誘った際に詠んだという,小野小町の〈わびぬれば身を浮き草の根を絶えて誘ふ水あらばいなむとぞ思ふ〉(巻十八)の歌がのせられている。このことは《十訓抄》《古今著聞集》などにも記された。また《古今集》巻一に,二条后(清和天皇の后,陽成天皇の母)に召されて詠んだ歌に〈春の日(東宮,後の陽成天皇)の光にあたる我なれど頭(かしら)の雪となるぞわびしき〉があるので,貞観(859-877)の末ころには相当の高齢であったとみられる。《古今集》仮名序には〈文屋康秀は言葉たくみにてそのさま身におはず。いはば商人のよき衣(きぬ)着たらむがごとし〉と評され,《古今集》には3首採られている。なお文屋朝康は康秀の子である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「文屋康秀」の意味・わかりやすい解説

文屋康秀
ふんやのやすひで

生没年未詳。平安前期の歌人。六歌仙、三十六歌仙の1人。860年(貞観2)刑部中判事に任ぜられ、877年(元慶1)山城大掾(だいじょう)、879年縫殿介(ぬいどののすけ)に任ぜられた。『古今集』に参河掾(みかわのじょう)になったときの小野小町との贈答歌があり、また仁明(にんみょう)天皇の御国忌(みこき)(851)の歌や「惟貞(これさだ)親王家歌合(うたあわせ)」の歌などがある。『古今集』の序に「ことばたくみにして、そのさま身におはず。いはばあき人のよききぬきたらんが如(ごと)し」とある。勅撰(ちょくせん)所載歌は『古今集』以下四首。

 吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふら
[島田良二]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文屋康秀」の意味・わかりやすい解説

文屋康秀
ふんやのやすひで

平安時代前期の歌人。六歌仙の一人。宗于 (むねゆき) の子。文琳 (ぶんりん) とも呼ばれた。縫殿介 (従六位上相当) 。小野小町と交渉があったといわれる。仁明天皇の一周忌の歌や清和天皇妃高子に奉った歌などがある。『惟貞親王歌合』の作者ともいわれるが,これはその子朝康と混同されたのかともいう。『古今集』『後撰集』に6首入集。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「文屋康秀」の解説

文屋康秀
ふんやのやすひで

生没年不詳。平安前期の歌人。六歌仙・中古三十六歌仙の1人。宗于(むねゆき)の子。子に朝康(ともやす)。官人としては卑官に終始した。「古今集」仮名序では「詞(ことば)はたくみにて,そのさま身におはず,いはば商人のよき衣(きぬ)着たらんがごとし」と評される。「古今集」に5首,「後撰集」に1首入集するが,「古今集」の2首は子の朝康の作ともいう。小野小町と親密であったらしい。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「文屋康秀」の解説

文屋康秀 ふんやの-やすひで

?-? 平安時代前期の歌人。
六歌仙のひとり。山城大掾(だいじょう)などをへて,元慶(がんぎょう)3年(879)縫殿助(ぬいどののすけ)となる。「古今和歌集」に3首,「後撰和歌集」に1首はいっている。姓は文室ともかく。
【格言など】吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしといふらむ(「小倉百人一首」)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

旺文社日本史事典 三訂版 「文屋康秀」の解説

文屋康秀
ふんやのやすひで

生没年不詳
平安前期の歌人。六歌仙の一人
伝記不詳。『古今和歌集』『後撰和歌集』に数首おさめられている。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の文屋康秀の言及

【六歌仙】より

…《万葉集》の後,和歌の道はまったくおとろえていたが,その時期に〈いにしへの事をも歌をも知れる人,よむ人多からず。……近き世にその名きこえたる人〉としてあげられた僧正遍昭在原業平文屋康秀喜撰法師小野小町大友黒主,の6人のこと。序の筆者紀貫之より1世代前の人々で《古今集》前夜の代表的歌人として《古今集》時代の和歌の隆盛を導いた先駆者たちである。…

※「文屋康秀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android