新価保険(読み)シンカホケン

デジタル大辞泉 「新価保険」の意味・読み・例文・類語

しんか‐ほけん【新価保険】

火災保険車両保険などで、損害保険金額再調達価額によって設定した保険のこと。再調達価額保険。
[補説]通常損害保険保険金額は時価によって設定する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新価保険」の意味・わかりやすい解説

新価保険
しんかほけん

一般の火災保険においては、再築価額から経過年数や損耗度合いによる減価分を控除した時価による実損害額しか填補(てんぽ)しないのに対して、新価保険は損害を受けた保険の目的と同一の構造・質・用途のものを再調達するのに要した額を填補するものである。ただし、減価率が30%を超え40%以下の物件については再調達価額の90%を、40%を超え50%以下の物件については80%を填補し、減価率50%を超える物件については引受けをしないことになっている。

 新価保険は、普通火災保険、住宅火災保険、住宅総合保険または店舗総合保険に「新価保険特約条項」をつけて引き受けられる。この保険は主として第一次世界大戦後のころから諸外国(たとえば、ドイツイギリス、アメリカ、フランス)で広く実施されており、日本でも1964年(昭和39)7月から住宅建物に限って引受けが開始され、商工業物件については1981年6月から引受けが行われている。この保険は濫用されやすいため、これを防止するために、(1)前述したような保険金額の設定に制限が加えられており、(2)被保険者に復旧義務が課されている。すなわち、損害が発生したときに時価額における損害について保険金が支払われ、損害が発生したときから2年以内に同一用途の物を同一構内において復旧(修理、再築、再取得)したときに新価保険金が支払われることになっている。

[金子卓治・坂口光男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新価保険」の意味・わかりやすい解説

新価保険
しんかほけん
replacement value insurance; replacement cost insurance

再調達費用保険ともいい,減価償却費保険,財産生命保険,財産減価保険などを含む。被災の場合に保険の目的物の再調達価額まで損害を填補する保険。通常の損害保険では,損害の生じた地のそのときの価格 (時価) によってその損害を填補するという原則 (商法 638) があり,したがって保険価額いっぱいまで保険をつける全部保険の場合でも,保険の対象物 (主として建物) の時価とそれを再築するのに要する費用との間に,建築後相当年数が経過していれば格差が生じ,罹災前の建物と同一構造,材質,用途,規模のものを新築することが困難になる。そこで建物の再調達価額を保険価額とする保険が考案されて生れたのがこの保険である。

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百科事典マイペディア 「新価保険」の意味・わかりやすい解説

新価保険【しんかほけん】

被災を受けた物件について値段が上がっていても再び調達できる価格を補償する保険。正称は再調達価額保険。時価を基準とする通常の損害保険では,損害を受けたとき受領する保険金で保険の目的と同一の物を調達できないことが多いため,これが1920年代に欧米で設けられた。日本では住宅物件につき火災保険の特約として1964年発売,被災物に代わる物の復旧が保険金支払の条件とされる。

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保険基礎用語集 「新価保険」の解説

新価保険

損害保険の保険金額は、通常は保険の目的の時価によって設定するが、本保険では、再調達価額によって設定します。保険の目的は、建物、機械、設備および装置であり(一般家庭用には価額協定保険特約がある)、損害が生じた場合には、2年以内に損害が生じた保険の目的と同一用途のものを、同一構内に再築あるいは再取得しなければならない等の義務があります。

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世界大百科事典(旧版)内の新価保険の言及

【価額協定保険】より

…1975年10月に発売された。 類似の保険として新価保険があるが,これは,(1)工場建物,機械設備等も保険の目的となる,(2)時価損害額を超える部分の保険金は保険の目的が復旧されなければ支払われない,(3)特別費用保険金の支払いはない,などの点で価額協定保険とは異なっている。火災保険【高木 秀卓】。…

※「新価保険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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