新冠川(読み)にいかつぷがわ

日本歴史地名大系 「新冠川」の解説

新冠川
にいかつぷがわ

日高地方、新冠町を流れる二級河川。流路延長七七・三キロ(うち指定区間六七・一キロ)、流域面積四〇二・一平方キロ。日高山脈中部の幌尻ぽろしり岳に水源を発し、南西に流れ太平洋に注ぐ。中・上流域は日高山造山褶曲帯にあって屈曲に富み、諸所に先行谷を造り、険しい急流。下流は新第三紀の丘陵域を直線状に流れて谷底を広げ、三―四段の河岸段丘と沖積地が発達。河口左岸に新冠町市街があり、海岸の丘陵末端に二―三段の海岸段丘が発達する。近世には河口部左岸にニイカップ場所の会所が置かれていた。同会所元の一帯は古くはビボク(ヒホク)とよばれており、このビボクという呼称は「今のニイカツプ川の本名」という。のちに会所元はニイカップと改称されるが、その後も土地のアイヌは当川のことをビボクとよんでいた(板本「東蝦夷日誌」、「戊午日誌」毘保久誌など)

「東蝦夷地場所大概書」には「ニイカツフ川」とみえ、「幅五拾間程 船渡し川守夷壱人」「川源より河下迄里数凡弐拾六里余(中略)八月頃より鮭魚昇り夷人食料となす。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新冠川」の意味・わかりやすい解説

新冠川
にいかっぷがわ

北海道南部を流れる川。日高山脈北部の幌尻岳 (2052m) 付近に源を発し,南ないし南西方へ流れて,新冠町で太平洋に注ぐ。全長 67.1km。上流に下新冠,岩清水,新冠,奥新冠の各発電所がある。このうち 1974年に完成した新冠発電所は,道内最大級の出力をもつ揚水式発電所。また奥新冠発電所の貯水池幌尻湖と呼ぶ。フタップ滝のある岩清水渓谷は,ヤマツツジ,紅葉の名所

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