新粉(読み)しんこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新粉」の意味・わかりやすい解説

新粉
しんこ

精白した粳米(うるちまい)を水に浸して、風乾後粉砕し、粒子をふるい分けて熱風乾燥したもの。粒子の細かい上新粉と粗い並新粉があるが、一般には上新粉が市販されている。きめが細かく、色の白いものが良品である。とくに、粒子の細かい粉を集めたものは上用粉とよび、上級の製菓用となる。大福餅(もち)、柏餅(かしわもち)、団子塩煎餅(せんべい)など、和風の製菓材料として広く用いられている。新粉を用いた餅や団子は、比較的粘りは少なく、特有のしこしこした歯あたりをもつ。新粉は粳米を粉にしたもので、ジャガイモなどのデンプンに比べると粒子が大きい。そのため、水を加えても吸水量が少なく、ぱさぱさして扱いにくいため、こねるときは熱湯を用い、米のデンプンの一部を糊化(こか)させてまとめ、さらに適当な大きさにまとめて蒸し器で蒸し、すりこぎなどで搗(つ)いて粘りを出す。

河野友美大滝 緑]

新粉細工

新粉を用いた細工菓子の一種。新粉を蒸して餅状にこねたものを、ぬれぶきんで手先を湿しながら、ちょっちょっとつまんで、花鳥、動物などを手早く形づくり、赤、青、黄などで彩色を施す。平安時代には供物一つとして利用されていたが、江戸時代には大衆化し、縁日夜店祭りなどのとき、大道で行商されるようになった。江戸時代の絵本にもそのようすがみられる。しかし昭和に入ってからは、まれにしかみられなくなった。

[河野友美・大滝 緑]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新粉」の意味・わかりやすい解説

新粉
しんこ

うるち米を粉にしたもの。乾燥や,つやの程度により上新粉と並新粉に分けられる。平安時代に唐菓子とともに中国から移入され,主として柏餅,団子などの菓子の材料に使われる。動植物の形につくる新粉細工菓子が有名であったが,いまではすたれ,節供や祭りの供物に使われている。

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世界大百科事典(旧版)内の新粉の言及

【糝粉】より

…うるち米を水洗いして乾燥したのち粉にしたもの。新粉とも書き,米粉(こめこ)と呼ぶこともある。普通品を並新粉,きめの細かい上質品を上新粉,上用粉と呼ぶことも多い。…

※「新粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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