日本最大のプロテスタント合同教会。事務局は東京都新宿区西早稲田(にしわせだ)。1941年(昭和16)、第二次世界大戦中、宗教団体の統制を目ざした政府の要請により、当時のプロテスタントのほとんどの教派および聖公会の一部、救世軍などが参加して成立したが、太平洋戦争後の宗教団体法の廃棄にしたがっていくつかの旧教派の教会が離脱し、今日に至っている。総会議長は2010年(平成22)より石橋秀雄(いしばしひでお)。教会数1724、信徒数18万2418名、牧師数2132名(『日本基督教団年鑑』2012)。全国に独立性をもつ17の教区を置き、2年に一度の総会を400名の正議員で開催する。使徒信条を含む信仰告白を制定し(1954)、会議制によって運営される。「明治初年の宣教開始以来、わが国のキリスト者の多くは、かねがね諸教派を解消して日本における一つの福音(ふくいん)的教会を樹立したく願ってはおりました……政府の要請を契機に……」とは「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」のなかの文章(1967)で、起草者は当時の議長鈴木正久(1912―1969)である。戦時下に教団の名において犯した罪の自覚を促すこの告白は、国内外における宗教、思想、文化、教育にかかわる団体として最初のものであり、他の団体に大きな影響を与えた。1970年(昭和45)の大阪万国博覧会にキリスト教館を出展することに関して、教団内に宣教理解をめぐって離脱する教会が出たり、1990年(平成2)まで19年間東京教区総会が開けないなどの状況が続いたが、韓国や台湾の教会などと宣教協約を結ぶなど、さまざまな課題(天皇制、社会悪、差別、平和、アジアへの責任)に対して、経済力と組織と人材の限度を超えて対応する使命感と実践は、海外で高く評価されている。安心立命と祖先崇拝と現世利益(りやく)を説く日本の伝統的宗教とは性格を異にし、また大衆伝道という方法を採用しないため、選挙などに関して信徒を動員するようなことはない。教育事業に熱心な信徒が多いのが特徴である。従来から強く保持されてきた禁酒・禁煙の伝統は、近年、リゴリズム(厳格主義)として軽視される傾向がある。1997年に出版局が『讃美歌21』を出版するなど、日本のプロテスタント・キリスト教会の指導的教会となっている。
[川又志朗・原 誠]
『大内三郎・土肥昭夫ほか編著『日本基督教団史資料集1~3巻』(1997~1998・日本基督教団出版局)』
日本における最大のプロテスタント教派。英語表記はUnited Church of Christ in Japan。1941年当時あったプロテスタント教派30余が合同して成立した。戦時中の思想統制をもくろんだ宗教団体法(1939)のもとに政府の強い要請でできた合同教会であったが,戦後宗教団体法が廃止され,聖公会,ルーテル教会,バプテスト連盟,日本基督教会,救世軍などが離脱したにもかかわらず大半は教団にとどまった。それは政府からの圧力があったにせよ,超教派的な合同教会創立の志向は明治初年以来日本のキリスト者の間にあり,さらに20世紀にはいってからプロテスタント諸教派間の協力一致と合同運動は欧米のみならず世界的に広がっていたからでもある。81年度現在で教団に所属する教会数は1406,伝道所数は268,合計1674。牧師ら教師数は海外で宣教師として赴任しているものを含めて1973名,信徒数は9万8252名。
執筆者:古屋 安雄
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信徒20万人をこえるプロテスタントの有力教派。戦時体制強化のため,1939年(昭和14)公布の宗教団体法に促がされ,41年日本基督教会などプロテスタント教派30余が合流し,外国ミッションから離れ設立した合同教会。教団統理のもとに部制を採用。45年12月宗教法人令の公布による宗教団体法の廃止により,離脱する教派が生じた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
… 昭和期に入ると宗教団体法が布かれてこのような運動はすべて抑えられ,1941年には教会合同が命ぜられ,それに従わない団体は教会活動が不可能になったほか,ホーリネス教会のようにはげしい弾圧を受けたものがある。合同によって成立した日本基督教団は,第2次大戦後に離脱した教派が多かったとはいえ,こんにちの日本の教会の主流をなしているといえる。もちろん戦後は,カトリックをはじめとして他の教会・教派が多数入ってきたので,信徒数の上では以下のように多様性が見られる。…
※「日本基督教団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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