厳粛主義、厳格主義。放任主義の反対。カントは、道徳説において善と悪とを峻別(しゅんべつ)する態度をリゴリズムとよび、なんらかの形でその中間をも認める立場を放任主義と名づけた。カントの場合、実践理性から発する定言的道徳法則のみが善の根拠であり、それ以外の行為を、自愛の原理に基づくものであるときめつけて、道徳的価値をいっさい認めないのであるから、当然リゴリズムの立場となる。一般には道徳的価値をすべて精神的なものに帰し、感性的なものを悪の根源とみなして排撃する立場をリゴリズムとよぶ。それゆえリゴリズムはまた享楽主義とも対比される。その点で著名なものに、ストア学派、ジャンセニスムがあり、いずれも禁欲的傾向を有する。カントの思想はこの傾向をもたないが、シラーはこの点を誤解し、次のような詩を書いた。
私はすすんで友人たちのためにつくす。
しかしあゝ喜びをもってそれをするのだ。
そこで私は疑い悩む、自分は道徳的人間ではないのではないかと。
[武村泰男]
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