私立。1900年(明治33)、成瀬仁蔵(なるせじんぞう)によって、当時閉ざされていた女子高等教育の門を開くために創設された「日本女子大学校」を前身とする。成瀬は、当時の専門学校令により、その大学部に家政学部、国文学部、英文学部を置き、その後も総合大学としての充実を図り、大学令に準拠した新しい女子大学の制度化への努力をしたが、文部省により拒否され、戦前期では、ついに大学として認められなかった。しかし第二次世界大戦後の1948年(昭和23)いち早く2学部9学科からなる新制大学となった。2010年(平成22)時点で、家政学、文学、人間社会学、理学の4学部、家政学、文学、人間生活学、人間社会、理学の5研究科からなる大学院をもつ。また、附属幼稚園、小学校、中学校、高等学校がある。実質的に日本で最初の女子大学としての伝統と実績を維持している。本部は東京都文京区目白台2-8-1。
[喜多村和之]
『日本女子大学編・刊『図説日本女子大学の八十年』(1981)』
東京都文京区目白台にある私立女子大学。その前身は,成瀬仁蔵が女子を〈人間として,婦人として,国民として〉育成することを目的に,〈信念徹底〉〈自発創生〉〈共同奉仕〉の三大綱領を教育方針として,1901年に創設した日本女子大学校である。高度の普通教育を中心にした本格的な女子高等教育機関の発足として,その女子教育史上における意義は大きい。当初は家政・国文・英文の3学部と英文予科から出発し,04年以来,専門学校令による専門学校として発展し拡大してきた。48年新制大学になると同時に現名に改称,49年には通信教育部をおき,さらに61年には日本の私立大学として初の大学院家政学研究科,ついで66年には文学研究科を設置している。現在,家政・文学・人間社会・理学の4学部,大学院の5研究科を有し,幼稚園,小・中・高校も付設。
執筆者:千野 陽一
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1901年(明治34)成瀬仁蔵により,日本女子大学校の名称で日本で最初の総合的女子高等教育機関として設立。当初は家政学部・国文学部・英文学部からなる大学と,英語予備科,附属高等女学校の構成で出発し,1906年には教育学部を,21年(大正10)には社会事業学部を開設した。1948年(昭和23)に新制日本女子大学発足。2016年(平成28)5月現在,4学部5研究科18専攻を設置し,東京都文京区の目白キャンパス・神奈川県川崎市の西生田キャンパスに6493人の学生を収容している。1909年に女子高等教育の通信教育を開始し,生涯教育の先駆けとなったが,新制大学発足の翌年には通信教育部を開講してその伝統を継承した。2021年の創立120周年に向けて「Vision120」を策定し,目白キャンパスの整備計画「グランドデザイン」を進めており,4学部15学科と大学院5研究科を同キャンパスに統合して,新たなカリキュラムを実施するための取組みを遂行中である。
著者: 小濱歩
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