専門学校(読み)センモンガッコウ

デジタル大辞泉 「専門学校」の意味・読み・例文・類語

せんもん‐がっこう〔‐ガクカウ〕【専門学校】

専修学校制度で、高等学校卒業者に専門教育を施す学校。
旧制の専門学校令に基づいて設立され、中等学校卒業者に専門的な学術・技芸を教授した学校。
[類語]専修学校各種学校

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共同通信ニュース用語解説 「専門学校」の解説

専門学校

職業や実生活に必要な能力の育成を目指し、1976年に制度が創設された専修学校のうち、高卒者が対象の学校。全国に約2800校あり、2年制以上で要件を満たす専門学校を卒業すると専門士の称号が得られる。高校を卒業した直後の学生だけでなく、社会人や大学などを経た人を含め約60万人が在籍。卒業と同時に取得できる資格には、調理師保育士栄養士などがある。理容師や美容師、看護師理学療法士などは卒業で受験資格が得られる。社会人の学び直し(リカレント)のための教育機関としても注目されている。

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精選版 日本国語大辞典 「専門学校」の意味・読み・例文・類語

せんもん‐がっこう‥ガクカウ【専門学校】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 旧制で、専門学校令に基づき、専門的な学問、技術を教育した学校。旧制中等学校の卒業後に専門教育を受けさせた学校。
    1. [初出の実例]「若し学者とならんと思召候はば〈略〉大学校或は其他の専門学校へ御入校可遊候」(出典:小学読本(1884)〈若林虎三郎〉五)
  3. 専修学校のうち、高等学校卒業を入学資格とする専門課程を置いている学校。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「専門学校」の意味・わかりやすい解説

専門学校
せんもんがっこう

高等学校卒業程度の学力を入学資格とする、実践的な職業教育を行う教育機関。学校教育法の一部改正で1976年(昭和51)に発足した専修学校の一つであり、学校教育法第1条に定められた大学や短期大学とは異なり、国からの補助金は受けられない。専修学校には高卒程度の学力を入学資格とする「専門課程」のほか、中学校卒業者を入学対象とする「高等課程」、入学資格を問わない「一般課程」があり、専門課程を設置した専修学校のみが「専門学校」と称してよいことになっている。2022年度(令和4)時点で全国に2721校あり、専修学校の約9割を専門学校が占めている。設置者別には国立、公立、私立があり、専門の種別ではIT・情報処理、工学・機械・電気、服飾・理美容、調理・栄養、動物・農業、建築・不動産、美術・デザイン、音楽・演劇、ビジネス・秘書、語学・観光、医療・介護・教育、法律・会計などがある。修業年限は1年以上で、年間授業時間は800時間以上、教育を受ける者が常時40人以上と規定されている。このうち修業年限2年以上、かつ総授業時間が1700時間以上で、試験などにより卒業認定などを行う専門学校の卒業者には、1995年(平成7)以降、「専門士」の称号が付与されるようになった。1998年からは専門士に大学への編入学資格が与えられ、修業年限4年以上、かつ総授業時間3400時間以上で、体系的な教育課程を受けた専門学校卒業生(2005年より高度専門士の称号)は大学院への入学資格が付与される。

 第2次ベビーブーム世代が高校を卒業した1992年に、専門学校への入学者は36万人台とピークに達した。バブル経済が崩壊した1990年代後半に入っても即戦力を短期間で育成できる専門学校生は就職率が高く、入学者は毎年30万人台を保っていた。しかし2000年代なかばから少子化に加え、専門学校の大学化、専門学校で教えてきた実践的教育分野への大学、短大の進出などが進んだため、2010年以降、専門学校の廃校が増え、2013年度の入学者は26万人台まで減少した。なお、専門学校や各種学校などの全国組織として、全国専修学校各種学校総連合会がある。また、高等専門学校と専門学校は別物である。

[編集部 2023年6月19日]


専門学校(旧制)
せんもんがっこう

旧学校制度における日本の高等教育機関の一類型。単科の専門教育を行った点で大学とは異なり、近代社会の実際的要求に即応するための機関として発達した。法律、医学、文学、宗教関係のものが多くを占めていた。1903年(明治36)の「専門学校令」をその基本法規とし、その目的は「高等の学術技芸に関する教育を施すこと」とされ、修業年限は3年以上、入学資格は中学校もしくは高等女学校卒業または同等と検定されること、とされた。この勅令により、それ以前からあった雑多な専門学校は統一され、実業学校のうち専門学校程度のものは実業専門学校として扱われることとなった。1903年には45校の専門学校が全国にあり、その過半数(27校)が私立であった。総数は16年(大正5)には倍の90校、新制大学発足直前の48年(昭和23)には356校を数えた。

 専門学校令前後から、私立専門学校のなかに、文部省の許可を得て「大学」と名称変更するものがあったが、正規に帝国大学以外の官公私立大学の設置を認めたのは1918年(大正7)の「大学令」である。これによって、大学の名称をもつ私立専門学校、官公立の医学専門学校のすべて、官公立の実業専門学校の一部が大学に昇格した。第二次世界大戦後、新制大学が発足するにあたり、専門学校の多くは大学設置審議会の審査を経て新制大学となった。専門学校の制度は1953年(昭和28)の入学者を最後にその卒業とともに廃止された。第二次世界大戦前の時期を通じて専門学校は高等教育機関卒業者の7~8割を輩出しており、日本の近代化に果たした役割は大である。

 なお、1975年に設けられた専修学校制度のなかで、専門学校の名称を用いることもできるようになったが、戦前のそれとは制度上の連続性をもたない。

[真野宮雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「専門学校」の意味・わかりやすい解説

専門学校 (せんもんがっこう)

日本の専門学校には,第2次大戦直後まで存続した旧学制下の学校と,1975年に制度化された専修学校の一種としての学校とがある。(1)旧学制下の専門学校とは,1873年の〈学制二編追加〉では〈外国教師ニテ教授スル高尚ナル学校〉を,79年の教育令では〈専門一科ノ学術ヲ授クル所〉をさしたが,86年以後はよるべき法令がなく,比較的高い水準の専門教育を行う学校の総称であった。1903年の〈専門学校令〉制定後は,中等学校卒業を入学資格とし,修業年限3年以上で〈高等ノ学術技芸ヲ教授スル〉学校を専門学校と称した。医学,歯学,外国語などを教授する一般の専門学校と,農業,工業,商業などの学科を教授する実業専門学校とに大別されるが,18年以後は大学に付設された専門部も専門学校として扱われた。35年には実業専門学校63校を含む183校の専門学校があったが,そのうち31校が専門部であった。大学,および入学資格や修業年限のほぼ同等な高等学校と並んで,旧学制下の高等教育機関の一角を構成した。毎年送り出された卒業生は,つねに大学のそれの2倍以上にのぼり,その多くは中堅の働き手として産業界に貢献した。第2次大戦後の学制改革により,専門学校の大部分は,新制大学あるいはその学部へと移行発展した。(2)1975年の学校教育法一部改正により,職業あるいは一般教養に関する系統的な教育を行う学校が従来の各種学校とは別の〈専修学校〉として制度化され,そのうち高校卒業を入学資格とする専門課程を置く学校は専門学校と称することができるとされた。専門学校と称するかどうかは学校にまかされているが,専門課程を置く学校は急速に増加し,高卒後の新たな高等教育機関の一種として注目されるようになった。

 なお94年には,修業年限が2年以上で総授業時間数が1700時間以上の専門学校の卒業生に対し,〈専門士〉の称号を与える制度が定められた。その後,専門士に大学・短大への編入資格を認めようとする動きがみられる(99年4月より実現)。
高等専門学校
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百科事典マイペディア 「専門学校」の意味・わかりやすい解説

専門学校【せんもんがっこう】

第2次世界大戦前の日本の学校制度では,高等の学術技芸を教授する,専門教育(医学,歯学,外国語,農業など)の学校の総称。明治初期から各種設立されたが,1903年専門学校令により統一的に扱われ,修業年限3年以上,入学資格は中学校卒業が原則とされた。これにより実業学校の一部は実業専門学校となった。大正〜昭和初期に著しく発達,女子のものもふえたが,1918年の大学令によって初期のものの多くは単科大学に昇格。1947年の新学制により専門学校(同年368校,うち私立208校)は多く新制大学の母体となった。なお1975年の学校教育法一部改正により,職業あるいは一般教養に関する系統的な教育を行う学校が従来の各種学校とは別の専修学校として制度化され,そのうち高校卒業を入学資格とする専門課程を置く学校は専門学校と称することができるとされた。→高等専門学校
→関連項目職業教育東亜同文書院東京外国語大学

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大学事典 「専門学校」の解説

専門学校(旧制)
せんもんがっこう

明治初期からさまざまな法令において専門学校の名称は見られるが,大学以外の専門教育機関の総称であり,その内訳は学制前から存在していた外国語関係の私立学校,宗教主義の私立学校,学制後明治10年代に各地に設置された公私立医学校,明治10年代以降隆盛となる政治・法律関係の学校群などがその主体であった。中等教育制度が整備され専門学校への進学者も多くなると,1903年(明治36)政府は専門学校令を公布し,入学資格を中学校卒業者もしくは修業年限4年以上の高等女学校卒業者とし,その修業年限を3年以上とした。さらに実業学校令を改正し,実業専門学校という制度類型を高等教育に加えることとした。設置者別にみると,官立では実業専門学校が多く,私立では実業以外の一般の専門学校が多かった。ただし官立の女子専門学校は1校も設立されず,女子専門学校は私立と公立のみであった。戦後改革時に全国で352校を数え,その多くは新制大学の母体となった。
著者: 橋本鉱市

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「専門学校」の意味・わかりやすい解説

専門学校
せんもんがっこう

専門教育を授ける学校。 1903年に制定された専門学校令に基づいて設置認可された旧制の学校。大学よりやや簡易に高等の学術技芸を教授するもので,中等学校卒業後入学し,修業年限は3年以上であった。専門分野としては医学,法律,語学,文学,経済などがあり,実業学校中専門学校程度の水準をそなえたものは実業専門学校として取扱われたが,42年の実業学校令 (1899制定) の廃止に伴って,専門学校に統一された。第2次世界大戦後の教育改革で新制大学に転換またはその母体となった。その後,62年に中学校卒業者を対象に5年間の職業専門教育を行う高等専門学校制度が発足し,また 75年発足の専修学校制度のもとでは,高等学校卒業者に対し3年以上の職業専門教育を行う専修学校に専門学校の名称が認められている。これらはいずれも旧制度の専門学校とは異なる。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「専門学校」の解説

専門学校
せんもんがっこう

第2次大戦前の大学・高等学校と並ぶ高等教育機関。1903年(明治36)の専門学校令によって「高等ノ学術技芸ヲ教授スル学校」とされ,それまでの多種多様な専門学校が制度として確立された。中等学校卒業程度を入学資格とする修業年限3~4年の専門教育を行う学校として,官立のほか公・私立の設置も認められた。程度の高い実業学校も実業専門学校として専門学校令の適用をうけた。医学・法律・経済・商科・文学系のほか,工業・農業などの実業系,宗教系のものなどがあり,全体としては私立の比重が高く,学校数や生徒数で大学を上回った。私立専門学校の有力なものは,大正期後半以降大学に昇格したが,第2次大戦後は多くが新制大学に改組された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

防府市歴史用語集 「専門学校」の解説

専門学校

専修学校のうち、高校を卒業した者に高度な技術などを教える学校。卒業して職業にすぐに役立つ技術を専門に教える学校。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内の専門学校の言及

【専修学校】より

…課程としては,中学校卒業者を対象とした高等課程,高等学校卒業者を対象とした専門課程,とくに入学資格を定めない一般課程の3種類がある。高等課程を置いた学校を高等専修学校,専門課程を置いた学校を専門学校と称することができる。学科としては,工業,農業,医療,衛生,教育・福祉,商業実務,家政,文化・教養などがある。…

※「専門学校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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