日本海岸気候(読み)にほんかいがんきこう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本海岸気候」の意味・わかりやすい解説

日本海岸気候
にほんかいがんきこう

日本列島を太平洋側と日本海側とに大きく区分したときの日本海側にみられる気候で,冬季に顕著な差が現れる。日本海側気候ともいう。冬の北西季節風時に大量の雨や雪が降るのが特徴。北海道と本州を縦断する脊梁山脈の西側にみられ,その分布範囲は,北海道のオホーツク海岸から渡島半島の西半分,本州では下北半島大部分と青森県の八甲田山から西側,秋田県,山形県,新潟県,富山県,石川県,福井県,兵庫県北部,鳥取県,島根県,山口県北部,および京都府北部を含む地域にわたる。ただし,九州の日本海岸は太平洋側の気候に含まれる。冬季の季節風による雪は,乾冷なシベリア気団が日本海を渡る際,暖かい対馬海流のために変質し,対流性の雲ができ,これに山脈による力学的強制上昇が加わって降る。一般に季節風が強いときに山岳地方では豪雪が降り,山雪となる。これに対して里雪といわれる平地大雪は,季節風が弱まり,南風が吹き局地的な不連続線が発生することによる。雪は一般に 11月中旬頃に始まり,12月には平地でもみぞれや雪を見る。12月~2月の 3ヵ月間は雪や曇りの日が続き,東北地方は月 20日以上,北陸地方は月 15日程度,山陰地方は月 12日程度の雪日数となっている。3ヵ月間の降水量は,新潟で 512.7mmで年降水量の 29%,福井では 33%,鳥取では 28%,秋田では 22%にあたる。山岳地帯は,世界でもまれにみる豪雪地帯で,積雪が最も深いのは新潟県南魚沼・稲荷町地域および妙高市の山岳部,長野県中野飯山地域の山岳部,山形県庄内・最上の山岳部で,いずれも 2mをこえる。北海道および東北地方の日本海側と山陰地方は北陸地方に比べて冬の積雪量は少ない。根雪の終わるのは,山岳部で 4月中旬から 5月初め,平地では 3月中旬から下旬頃。ただし海岸地帯では雪は一般に少なく,根雪がない年もある。夏は冬に比べて降水量は少ないが,台風期を除いても月に 100~200mmは降る。夏の気温は太平洋側とほとんど変わりなく,脊梁山脈を越えてくるフェーンのため,むしろ太平洋側より高めとなることが多い。(→太平洋岸気候

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