シベリア気団(読み)しべりあきだん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シベリア気団」の意味・わかりやすい解説

シベリア気団
しべりあきだん

冬季シベリアや中国東北区に発生する大陸性寒帯気団。厚さ2~3キロメートルで、その上方に強い逆転層をもち、非常に安定である。しかし、日本海や東シナ海に出ると、相対的に高温水面から、熱と水蒸気が大量に供給されるので、急速に変質し不安定となり、積雲積乱雲が発生する。脊梁(せきりょう)山脈により強制的に上昇させられると一時に不安定を解消し、風上側にあたる日本海側の地方に多量の雨や雪を降らせ、風下側にあたる太平洋側の地方に乾いたよい天気をもたらす。これが、日本の冬に顕著な天気分布である。

饒村 曜]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シベリア気団」の意味・わかりやすい解説

シベリア気団
シベリアきだん
Siberian air mass

おもに冬季にシベリア高気圧圏内で発生する寒帯大陸寒気団。寒冷で乾燥し安定している。ある期間涵養されると四方へ流出する。冬の北西季節風として日本付近へ吹走してくるシベリア気団は,暖かい日本海上で多量の顕熱と水蒸気の供給を受け,下層から変質し,不安定となって積雲を発生させ日本海側の地域に多量の雪をもたらす。

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