日本私鉄労働組合総連合会(読み)にほんしてつろうどうくみあいそうれんごうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

日本私鉄労働組合総連合会
にほんしてつろうどうくみあいそうれんごうかい

全国民営鉄道・バス関係労働組合連合体である産業別組合略称私鉄総連。組合員数9万6278人(2011年3月)。日本労働組合総連合会(連合)加盟組織。第二次世界大戦後、公営も含む交通運輸関係の大産業別統一組織として結成されていた日本交通運輸労働組合同盟(日交同盟)から民営鉄道・バス関係労働組合が独立分離し、1947年(昭和22)1月10日、それらの組合の連合体として私鉄総連が発足した(日交同盟はやがて私鉄総連も加わった1947年7月の全日本交通運輸労働組合協議会=全交運の結成に伴い発展的に解消した)。

 二・一スト後、私鉄総連は全国労働組合連絡協議会(全労連)に加盟、全交運の結成に際しては積極的な役割を果たした。1949年に全労連を脱退、新たに労働戦線の統一を提唱した。1950年の日本労働組合総評議会総評)結成では民間単産として中心勢力となり、1950年代前半は産業別組織として労働協約基準案を提起し統一闘争を組織した。総評への加盟とあわせて、国際自由労連(ICFTU)と国際運輸労連ITF)に加盟したが、両労連が日米安全保障条約と日本再軍備を支持したことから、1953年に脱退した。総評加盟後、総評民間単産会議の有力組合の一つとして諸闘争に重要な役割を果たし、1952年の賃金闘争ではマーケット・バスケット方式の要求を掲げてストを組織した。以後、他の単位産業別組合(単産)と共闘して賃金ストップ打破の先頭にたち、「春闘」が始まると闘争の先導組合としての役割を果たしてきた。

 1960年代の春闘では大手私鉄労組と私鉄経営者協会(1967年以降日本民営鉄道協会)との中央交渉が春闘相場形成に大きな影響をもった。また国鉄労働組合(国労)などと共闘した1970年代なかばの交通ゼネストは国民春闘時代の迫力を示した。公益事業のため争議中央労働委員会(中労委)の斡旋(あっせん)、調停にかかることが多かったが、1977年以降、中労委の斡旋、調停に依拠しない自主交渉、自主解決を方針とし、スト権確立投票も会社回答をみて事後に実施する事後対処方式に転じた。1980年代民間先行労働戦線統一の動きのなかでは、総評加盟大単産としてその動きがつねに注目された。このころから私鉄総連は転機を迎え、労働戦線統一には積極的に対応し、1989年(平成1)総評解散後、連合に参加した。

 1990年代に入ると長い歴史をもつ私鉄大手の中央集団交渉方式は、1995年阪神・淡路大震災の影響で阪急電鉄と阪神電鉄が離脱したことから崩れ始め、その後も個別交渉方式を主張する民鉄協会と中央集団交渉方式の確立・拡大を重要課題とする私鉄総連とが対立し、1997年春闘では30年続いた中央集団交渉が打ち切られた。私鉄総連は将来的には複合産別を目ざすこととし、軌道・バス労働者を組織する関係組合との組織合同、あるいはレジャー・サービス関係組合との共同行動を目ざしている。

[大野喜実・川崎忠文・早川征一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

日本私鉄労働組合総連合会
にほんしてつろうどうくみあいそうれんごうかい

略称,私鉄総連。 1947年日本交通運輸同盟,関東私鉄労働組合連合会などを統合し結成。民間の鉄道,バス,タクシー関係労働組合の単位産業別労働組合 (単産) 。日本労働組合総評議会 (総評) 結成に積極的役割を演じ,55年8単産共闘以来春闘の中核をになってきた。当初中央労働委員会の斡旋依存から 1970年代後半以降自主交渉重視へ転換。統一ストライキを背景とする大手中央集団交渉,地方集団交渉で産別機能を発揮,春闘全体の賃上げ相場に影響を及ぼしている。 91年に観光バスガイドの労働者供給事業をはじめたが,運行部門だけでなく,関連する第3次産業労働者を広く組織化する複合産別の方向を目指している。日本労働組合総連合会 (連合) 加盟。

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百科事典マイペディア の解説

日本私鉄労働組合総連合会【にほんしてつろうどうくみあいそうれんごうかい】

略称は私鉄総連。全国の民営鉄道・民営バスの労働組合の連合体として1947年結成。同年の全労連の結成に積極的に参加したが1949年に脱退。総評(日本労働組合総評議会)結成の提唱団体になり,その中心的な組合であった。現在は連合に加盟。組合員16万6878人(1999年)。

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世界大百科事典(旧版)内の日本私鉄労働組合総連合会の言及

【私鉄総連】より

…正称は日本私鉄労働組合総連合会。連合,交運労協(全日本交通運輸産業労働組合協議会)の加盟組合。…

※「日本私鉄労働組合総連合会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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