日本における地理学的経緯度を決めるための基準となる点。東京都港区麻布台(あざぶだい)2-18-1にあり、日本の経緯度の原点としてあらゆる測量の出発点となっている。測量法施行令第2条では原点の数値を次のように定めている。
経度 東経139度44分28秒8869
緯度 北緯35度59分29秒1572
原点方位角(つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角) 32度20分46秒209
ここは、明治の初めに海軍観象台の子午環が設置された地点の中心で、日本で初めて天文学的に経緯度が測られた点であり、その後は長く東京天文台や国土地理院関東地方測量部が位置した場所である。子午環は1923年(大正12)の関東大震災の際に崩壊したが、その地点は原点として現在も保管されている。
明治時代の原点数値は、天文測量によりベッセル楕円体に基づいて決定されたものであったが、2001年(平成13)の測量法施行令改正(2002年4月1日施行)により、測量の基準として世界測地系が採用され、経度が約-12秒、緯度が約+12秒だけ変更された。また2011年には、同年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、日本経緯度原点が真東に移動したので、測量法施行令が改正(2011年10月21日施行)され、経度が+0.011秒変更され現在の数値になった。
[尾崎幸男・辻 宏道 2016年11月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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