日本経緯度原点(読み)ニホンケイイドゲンテン(その他表記)Origin of the Japanese Horizontal Control Network

デジタル大辞泉 「日本経緯度原点」の意味・読み・例文・類語

にほん‐けいいどげんてん〔‐ケイヰドゲンテン〕【日本経緯度原点】

日本の地理学的経緯度を決めるための基準点。東京都港区麻布台にある。原点数値東経139度44分28秒8869、北緯35度39分29秒1572。方位角は32度20分46秒209。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本経緯度原点」の意味・わかりやすい解説

日本経緯度原点
にほんけいいどげんてん
Origin of the Japanese Horizontal Control Network

日本における地理学的経緯度を決めるための基準となる点。東京都港区麻布台(あざぶだい)2-18-1にあり、日本の経緯度の原点としてあらゆる測量の出発点となっている。測量法施行令第2条では原点の数値を次のように定めている。

 経度 東経139度44分28秒8869
 緯度 北緯35度59分29秒1572
 原点方位角(つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字交点の方位角) 32度20分46秒209
 ここは、明治の初めに海軍観象台の子午環が設置された地点の中心で、日本で初めて天文学的に経緯度が測られた点であり、その後は長く東京天文台や国土地理院関東地方測量部が位置した場所である。子午環は1923年(大正12)の関東大震災の際に崩壊したが、その地点は原点として現在も保管されている。

 明治時代の原点数値は、天文測量によりベッセル楕円体に基づいて決定されたものであったが、2001年(平成13)の測量法施行令改正(2002年4月1日施行)により、測量の基準として世界測地系が採用され、経度が約-12秒、緯度が約+12秒だけ変更された。また2011年には、同年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震影響により、日本経緯度原点が真東に移動したので、測量法施行令が改正(2011年10月21日施行)され、経度が+0.011秒変更され現在の数値になった。

[尾崎幸男・辻 宏道 2016年11月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本経緯度原点」の意味・わかりやすい解説

日本経緯度原点
にほんけいいどげんてん

経緯度により日本列島の位置を決める原点。日本におけるすべての三角測量の出発点となる。もとの東京天文台子午環の中心点で,今日の国土地理院関東地方測量部構内(東京都港区麻布台2-18-1中央官庁合同会議所敷地内)にある。1892年に天文測量により割り出したもので,北緯 35°39′17″5148,東経 139°44′40″5020と定められた。三角測量には方向線の基準も必要であり,ここから千葉県鹿野山の一等三角点方向についてを原点方位角として,その値を 156°25′28″442に定めた。人工衛星の観測により世界中のおもな測地測量網を結合しようとすることが,1962年からアメリカ合衆国のスミソニアン天体物理天文台が中心となって始められ,その結果によると,日本の原点は,ほぼ北緯 35°39′29″,東経 139°44′29″で,直線距離にして 871mずれていることがわかった。これは日本の複雑な地質構造のため,原点における鉛直線方向のずれがかなり大きいことに原因していると考えられた。2001年に測量法が改正され,測量の基準に世界測地系を採用することになり,原点の経緯度および方位角の数値が再設定された。さらに 2011年東北地方太平洋沖地震の影響をうけ,北緯 35°39′29″1572,東経 139°44′28″8869,方位角 32°20′46″209に改定された。

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