日清製粉(読み)にっしんせいふん

改訂新版 世界大百科事典 「日清製粉」の意味・わかりやすい解説

日清製粉[株] (にっしんせいふん)

製粉業界のトップ。1900年機械製粉目的として,群馬県館林町(現,館林市)に正田貞一郎により館林製粉(株)として設立された。07年横浜に設立され工場を建設しつつあった日清製粉を同年合併して,社名を日清製粉(株)とし,本社を東京に移転した。その後,第1次大戦後の好況時に名古屋,水戸岡山,神戸に工場を新設した。さらに28年,輸入小麦を原料とする臨海製粉工場として鶴見工場を新設し,その後の輸出ブームに乗って生産量を伸ばし,業界トップの座を日本製粉と争った。海外への進出は36年,朝鮮に朝鮮製粉を,37年満州(中国東北部)に康徳製粉股份有限公司を設立したが,むしろ国内工場の拡張を図った。

 第2次大戦により海外資産を失い,国内工場も大きな被害を受けたが,1949年には戦前水準に生産能力を回復した。52年に小麦粉の販売が自由化されてからは,自社ブランドによる販売を積極的に行い販売量を伸ばした。57年にはニューマチック(空気搬送方式)の製粉設備を西ドイツスイスからそれぞれ鶴見,神戸工場に導入し,生産性向上を果たしている。60年代に入ると,配合飼料,プレミックス製品,医薬品などにも進出し,67年にはマ・マーマカロニの経営参画,72年にはエンジニアリング部門への本格的参入を目的として日清エンジニアリングを設立している。また80年代に入り健康食品分野にも進出している。2001年製粉,食品,飼料医薬品など事業分社化して持株会社に移行するとともに,社名を日清製粉グループ本社と改めた。資本金171億円(2005年9月),売上高4162億円(2005年3月期)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日清製粉」の意味・わかりやすい解説

日清製粉(株)
にっしんせいふん

製粉業界の最大手。1900年(明治33)正田貞一郎(しょうだていいちろう)(1870-1961)らが機械製粉を目ざして群馬県館林(たてばやし)町に創立した館林製粉(株)が前身。1907年、横浜に工場を建設中であった旧日清製粉(株)を合併、社名もそれに改めた。明治末から大正期にかけて各地に工場を建設、相次いで製粉会社を合併して生産拠点を拡充。さらに1926年(大正15)に鶴見(つるみ)工場を完成、製粉能力を全国1位とし、小麦粉輸出も本格化した。第二次世界大戦後は1957年(昭和32)にドイツのミアグ社とスイスのビューラー社から空気搬送の最新式ニューマチック方式製粉設備を導入して製粉設備近代化に先鞭(せんべん)をつける一方、ビタミンE、K1の合成法を開発した。1961年以降は、日清飼料(株)、日清フーズ(株)を設立して、配合飼料、ケーキミックスなどの分野にも進出、70年代にはエンジニアリング事業も開始され、経営の多角化が図られた。2001年(平成13)7月には製粉、食品、飼料、医薬、ペットフードの全事業を分社化、すでに別会社化されていたエンジニアリング事業を含め、それら株式を100%保有する純粋持株会社日清製粉グループ本社となった。日清製粉グループ本社の資本金149億円(2008)。

[中村清司]

『日清製粉株式会社編・刊『日清製粉100年史』(2001)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日清製粉」の意味・わかりやすい解説

日清製粉
にっしんせいふん

製粉会社。 1907年館林製粉と日清製粉の合併により設立され,以後多くの合併を経て発展した。業界トップを占め,飼料や二次加工食品部門,医薬品にも進出。日清ディー・シー・エー食品,日清飼料,日清ペットフード,日清エンジニアリングなどの関係会社をもつ。売上構成比は,製粉 50%,配合飼料 15%,食品 33%,医薬2%。年間売上高 3643億 100万円 (連結) ,資本金 171億 1700万円,従業員数 2482名 (1999) 。

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百科事典マイペディア 「日清製粉」の意味・わかりやすい解説

日清製粉[株]【にっしんせいふん】

日清製粉グループ本社

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世界大百科事典(旧版)内の日清製粉の言及

【製粉業】より

…日本の製粉業は,原料小麦が食糧管理制度の対象となっているため,政府から前年の生産量に応じて供給されており,規制色の強い業界となっている。また,業界構造は大手メーカーと中小メーカーが混在する形であり,メーカー数は150社を超えているが,日清製粉,日本製粉,昭和産業をはじめとする上位10社のシェアは80%に達しており,年々高まっている。 日本の製粉業は,江戸時代末期には麵(めん)用に水車と石うすを用いた農村工業として成立していた。…

※「日清製粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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