愛玩動物であるイヌ,ネコをはじめ,観賞魚や小鳥を飼育するときに,それらの動物が必要とする栄養素をバランスよく含む飼料をいう。広義には競走馬用飼料もこれに含まれる。愛玩動物はふつう経済性を追求する動物ではないので,一般の家畜,家禽(かきん)および養魚用の飼料と異なり,経済的採算を越えた利用が行われ,一般の飼料とは別の商品として扱われる。
ペットフードが最初に市販されたのはイギリスで,1860年代にはロンドンでイヌ用ビスケットが愛犬家の間で利用された。その後アメリカなどで広く利用されていったが,日本では1953年ごろ,犬の飼料として輸入されたドッグフードが最初といわれている。これが国内で製造,販売されたのは60年であるが,その後増加の一途をたどっている。ペットフードの利用は生活水準の向上,余暇の増加,家族構成の核化に伴う愛玩動物の飼育の増加や,さらに飼育する品種の高級化に伴って,将来さらにその需要が増加すると見込まれる。ペットフードを利用すれば,残飯給与時などにくらべて,はるかに栄養のバランスがとれた飼養ができるし,また寄生虫感染のおそれも少ないが,一方,使用量が多くなればその分だけ畜産物の生産に向けられる飼料が少なくなり,問題になることがある。
ペットフードのうち大部分を占めるドッグフードは,穀類をあぶり焼きしたものに動物性飼料を加えたものが多く,ドライフード,缶詰フード,ソーセージフードのような形態で流通している。キャットフードは魚肉や馬肉を主原料とした缶詰フードが多い。観賞魚用フードは魚粉を主原料として魚の食性に合わせた形態でつくられるが,とくに比重や水中での崩壊速度が問題となる。小鳥用フードは雑穀が主体である。
執筆者:宮崎 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(石田卓夫 日本臨床獣医学フォーラム代表 / 2007年)
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 独力で餌をとることのできない雛や子どもに対しては親が餌を与える必要があり,これを給餌という。家畜,ペット,実験動物などのように,餌がとれない環境に置かれたり,餌をとる能力を失ったものについても,人間が餌を与える必要があるが,その場合の餌は特に飼料feedやペットフードと呼ばれる。
[おとりとしての餌]
野生の動物を人間が狩猟(あるいは漁労)する場合には,それぞれの動物の摂食習性を利用することが多い。…
※「ペットフード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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