普代(読み)ふだい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「普代」の意味・わかりやすい解説

普代(村)
ふだい

岩手県北東部、下閉伊郡(しもへいぐん)にある村。陸中海岸に臨む。三陸鉄道リアス線、国道45号が南北に通じる。東流する普代川の流域耕地が開け集落が点在するが、村域の大部分山地で、木材木炭の生産が行われる。漁業コンブワカメ養殖定置網が中心で堀内(ほりない)、太田名部(おおたなべ)の両漁港がある。沿岸部の黒崎は140メートルに及ぶ絶壁をなし、三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)北部の中心の一つとなっている。しばしば津波による被害を受け、とくに1896年(明治29)の三陸大津波では死者約1000人に上った。1968年(昭和43)防潮堤、1984年普代水門が完成。2011年(平成23)の東日本大震災では10メートル近い津波に襲われ、村内の7つの漁港は甚大な被害を受けたものの、防潮堤、水門が機能して人的被害は行方不明1人にとどまり、住家へ被害はなかった(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日など)。面積69.66平方キロメートル、人口2487(2020)。

[金野靜一]


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改訂新版 世界大百科事典 「普代」の意味・わかりやすい解説

普代[村] (ふだい)

岩手県北東部,下閉伊(しもへい)郡の村。人口3088(2010)。高さ100m以上の海岸段丘が発達する太平洋岸には,陸中海岸国立公園の黒崎など雄大な断崖絶壁が連続する。黒崎沖は資源の豊富な三陸漁場であり,漁業が主産業であるが,近年は養殖漁業への転換が進んでいる。北上高地に連なる山間部は木材をはじめ大理石,石灰岩などの地下資源に恵まれるが,開発は遅れている。蝦夷地へ向かう源義経が武運を祈願したという伝説をもつ漁業の神,鵜鳥神社がある。1970年代に国道45号線,北部陸中海岸有料道路(83年無料開放),国鉄久慈線(現,三陸鉄道北リアス線)が通じ,観光開発が進められている。
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