曲事(読み)キョクジ

デジタル大辞泉の解説

きょく‐じ【曲事】

不正な行為。「曲事を働く」
法に背くこと。また、それを罰すること。
「―申シツケル」〈和英語林集成

くせ‐ごと【曲事】

道理に合わない事柄。ひがごと。
「心細く本意(ほい)なきは、人ごとの―なり」〈沙石集・八〉
けしからぬこと。にがにがしいこと。
「去年もって参る御年貢を当年もって参る事、―におぼしめす」〈虎明狂・餅酒〉
違法行為をした者を処罰すること。
「横取りして―にあふはずを」〈浄・淀鯉

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大辞林 第三版の解説

きょくじ【曲事】

法に違反すること。また、それを処罰すること。 「偽りを申すと-ぢやぞ/歌舞伎・勧善懲悪覗機関」

くせごと【曲事】

道にはずれたこと。ひがごと。きょくじ。 「末代は-月に随ひ年に添ひて/栂尾明恵上人遺訓」
してはならないこと。あきれ果てたこと。 「前代未聞の-なり/太平記 23
法にそむいたこと。また、違法に対する処罰。きょくじ。 「盗賊の罪のがれ難く、-に行はるる条/浄瑠璃・反魂香」
凶事。まがごと。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

きょく‐じ【曲事】

〘名〙
① 不正なこと。にそむいたこと。ひがごと。くせごと。〔いろは字(1559)〕〔陽固‐疾倖詩〕
② 近世の法律用語。不正や、法にそむいたこと。また、その罪を処罰すること。
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四「急度(きっと)曲事(キョクジ)に仰付られ下さるべし」

くせ‐ごと【曲事】

〘名〙
がったこと。道理にそむいたこと。ひがごと。
※栂尾明恵上人遺訓(1238)「末代は曲事(クセゴト)月に随ひ年に添て〈略〉誠しき心立したるは少なし」
② してはならない、とんでもないこと。にがにがしいこと。けしからぬこと。
※古今著聞集(1254)一六「いまかた皮をば、わがはくべき物とも思はで、『あれをばさて、たがはき候はんぞ』と人に問ひたりける、ただ同じほどのくせ事なり」
※虎明本狂言・富士松(室町末‐近世初)「只今もいふたにくせ事なやつじゃ」
③ 不吉な事。凶事。災い。
※万治版宇治拾遺(1221頃)六「ゆゆしきくせごと出来候はんずると申して出ぬ」
④ めずらしいこと。妙なこと。珍事。
※古今著聞集(1254)一〇「此馬に乗て、二たび高名せられたりける、くせ事になん申しあへりける」
⑤ 法にそむいた行為。きょくじ。
※東寺百合文書‐を・宝徳二年(1450)九月一六日・三浦為継書状「私之事預御切檻候、言語道断九世事にて候」
⑥ 法にそむいた者を処罰すること。処分。きょくじ。
※叢書本謡曲・弁内侍(室町末)「真直(まっすぐ)に申し候へ。少しも偽らば重く曲事すべし」
⑦ 江戸時代、被告が庶民の場合の、目安(めやす)裏書の書留文言。目安裏書には、被告に返答書(抗弁書)の提出を命ずるとともに、期日に出廷して対決すべしとの文言が記され、最後に期日に遅参した場合は「曲事」たるべしとの文で結ばれた。被告が庶民以外の僧侶、神官などの場合は、「越度(おちど)」の文言が用いられた。〔矢城町伝馬書付(古事類苑・法律五六)〕

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世界大百科事典内の曲事の言及

【越度】より

…(2)中世以降,過失犯の意となり,また転じて広く法律違反,有罪の意ともなったが,通じて量刑を明示しないで罪過を規定する場合に用いられたようである。なお,江戸幕府では,武士,神官,僧侶に対しては越度といい,百姓,町人に対しては〈曲事(くせごと)〉といって,法律用語を使い分けた。(3)日常語として,戦国時代の奥州・北陸地方で戦死,死没の意に用いられ,また広く過失,手落ちの意に用いられて今日に及んでいる。…

※「曲事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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