日本大百科全書(ニッポニカ) 「有松絞り」の意味・わかりやすい解説
有松絞り
ありまつしぼり
旧東海道の有松、鳴海(なるみ)(ともに名古屋市緑区)を中心として行われた木綿(もめん)地の絞り染め。1608年(慶長13)尾張(おわり)藩によって有松村が開発され、最初に移住してきた8人のうちの1人、竹田庄九郎が始祖といわれる。その後、江戸初期に豊後(ぶんご)国(大分県)の三浦玄忠が豊後絞り(今日の三浦絞り)を伝えたという。以来しだいに発達して隣接地の鳴海とともに、有松絞り、鳴海絞りの名で東海道の名物となった。明治以降は京都風の絞り技法を取り入れて絹物も多く取り扱うようになった。今日この地方に伝わる絞り技法はきわめて多く、古今を通じてのあらゆる技法を網羅しているといっても過言ではない。
[神谷栄子]
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