家庭医学館 「有毒植物による中毒」の解説
ゆうどくしょくぶつによるちゅうどく【有毒植物による中毒】
●チョウセンアサガオ
ゴボウとまちがえた中毒事故がよくおこります。ベラドンナアルカロイドが含まれています。当初は、からだのふらつき、だるさ、眠けが現われますが、不安、せん妄(もう)、失見当識(しつけんとうしき)、幻覚、活動亢進(かつどうこうしん)などが現われ、統合失調症の急性期や急性アルコール中毒とまちがえられ、病院に収容されることもあります。食べてから30分~2時間後に現われ始めます。
●ハシリドコロ
フキノトウとまちがえます。ベラドンナアルカロイドが含まれています。
●ヒガンバナ科植物
スイセン、タマスダレ、ヒガンバナ、キツネノカミソリ、ハマユウには、リコリンというアルカロイドが含まれていて、ニラ、アサツキ、ノビルなどとまちがえて中毒をおこします。
吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)が主症状です。重症になると、低血圧、頻脈(ひんみゃく)、期外収縮(きがいしゅうしゅく)などがおこり、心停止することもあります。
●ドクゼリ
毒成分はシクトキシンで、食用のセリとまちがえて食べると、治まってはくり返すけいれん発作(ほっさ)がおこります。食べた量が多いと、代謝性アシドーシスや腎不全(じんふぜん)のために生命にかかわることもあります。家庭での治療は無理です。すぐに受診しましょう。
●トリカブト
毒成分は、アコニチンを主とするアルカロイドで、体内に入ると、重い不整脈(ふせいみゃく)がおこります。山菜のニリンソウやモミジガサと誤って食べ、中毒がおこることがあります。
食べてから15~30分で、嘔吐、しびれ、脱力感、ことばのもつれ、頭痛、めまい、発汗などが現われ、立っていることができなくなります。目のかすみ、色覚異常(周囲が黄色く見えるなど)もおこります。不整脈が頻発し、ほかの症状が治まった後も続き、生命にかかわります。
[治療]
症状が現われたら、まず、吐き出します。たとえ症状が現われなくても、同じものを食べた人は、全員吐き出し、受診してください。