ユリ科(APG分類:ヒガンバナ科)の多年草。別名センボンワケギ。地下に長さ1.5~2.5センチメートルのラッキョウのような形の鱗茎(りんけい)がある。葉は幅3~5ミリメートル、長さ15~40センチメートルの円筒形。花期は6~7月。花茎は高さ40~60センチメートルに伸び、頂端に多数の紫紅色の花をねぎ坊主状につける。花被片(かひへん)は長さ9~12ミリメートル。花期後にゴマ状の種子ができ、夏には地上部が枯死する。秋にふたたび芽生えて、冬にはほとんど葉が枯れる。北海道、本州、四国、シベリアの山地の草原に生え、また食用の目的で栽培もされる。
[星川清親 2019年1月21日]
9月に鱗茎を分けて植え付け、2~3月に若い葉を鱗茎とともに収穫する。東京近郊や東北地方に栽培が多く、一部には温泉利用の促成栽培もある。野生のアサツキは2n=16の二倍体であるが、栽培アサツキの一部には2n=24の三倍体が知られている。
[星川清親 2019年1月21日]
アサツキが食用にされた歴史は古く、平安時代にはすでに記録がある。栄養的には、タンパク質2.5%、脂質0.1%、糖質4.7%、繊維1.2%、灰分1.0%(生重当り)を含む。葉と鱗茎を湯がいて、おひたし、和(あ)え物、酢の物にする。また、なまのまま刻んで薬味にもする。鱗茎はラッキョウと同様、甘酢に漬ける。古来、上巳(じょうし)の節句(陰暦3月3日)には、アサツキをアサリのむきみなどと酢みそ和えにした、浅葱(あさつき)なますをつくる習わしがあった。
[星川清親 2019年1月21日]
ネギ類に属し野菜として利用されるユリ科の多年草。古くは山野に自生するものが利用されていた。葉が細いところからイトネギ(糸葱)ともいわれる。またセンボンワケギともいう。中国および日本各地に自生がみられるが,とくに東北地方や北海道に多い。《和名類聚抄》や《延喜式》などには〈島蒜〉と呼ばれ食用にされていた記録がある。その後,貝原益軒の《菜譜》(1714)には〈小葱〉と記載されている。葉は円筒状で細長く,長さは30cm前後になり,淡緑色。地際から多くの分げつを出す。鱗茎は長卵形で長さは2~2.5cm,灰白色または帯紅色である。晩春には紫紅色の花を咲かせる。食用とされる萌芽は春と秋の2回あり,夏は休眠する。早生種と晩生種とがある。繁殖は鱗茎を9月中・下旬に植え付け,翌春葉が20cmくらいのとき収穫する。若い葉や鱗茎をみそあえ,ぬた,汁の実,薬味とする。
執筆者:平岡 達也
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…ネギ属のニンニク様のにおいは,多分,動物の食害を防ぐ役割をしているのであろうが,有毒ではない。また葉や鱗茎が軟らかく食べやすいため重要な野菜になったものに,ネギ,リーキ(イラスト),タマネギ(イラスト),ニンニク(イラスト),ニラ,ラッキョウ(イラスト),ワケギ(イラスト),シャロットなどがあるし,野生種でもノビル,アサツキ(イラスト),ギョウジャニンニクなど,食用にされている種は多い。また多数の小花の密集して咲くネギ坊主の,特異な形を観賞するため栽培されるもの(アリウム)もある。…
※「あさつき」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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