ドクゼリ(読み)ドクゼリ(英語表記)water-hemlock

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドクゼリ」の意味・わかりやすい解説

ドクゼリ(毒芹)
ドクゼリ
Cicuta virosa; water hemlock

セリ科の大型の多年草北半球の旧大陸の温帯から暖帯に広く分布し,日本でも北海道や本州の中部,北部の水湿地に自生する。地下茎は太く節間が縮まってたけのこ状になり,緑色中空である。茎は高さ 1mに達し中空で分枝する。葉は羽状複葉で長い葉柄があり,平滑で毛はない。葉柄の基部は鞘となり茎を抱く。夏に,茎の先端および葉腋に複散形花序をなして多数の白色の小花をつける。各花序に 10数個の花がつく。花弁は5枚でおしべ5本,めしべ1本があり,果実球形で直径 2.5mmほどになる。植物体全体に猛毒があり,あやまって食べると中枢神経がおかされ痙攣を起して死を招く。地下茎が変った形をしているので延命竹または万年竹として観賞用にされるが猛毒なので注意を要する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドクゼリ」の意味・わかりやすい解説

ドクゼリ
どくぜり / 毒芹
water-hemlock
cowbane
[学] Cicuta virosa L.

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。地下茎や根にシクトキシンを含む猛毒植物。地下茎は緑色で太く、節があることが特徴である。茎は高さ0.6~1メートルで中空。葉は2~3回羽状複葉、裂片は幅0.5~2センチメートル。6~8月、大形の散形花序をつくり、白色花を開く。果実は緑色で球形、黄色の太い稜(りょう)がある。水辺に生え、北海道から九州、およびアジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。地下茎は延命竹、万年竹の名で売られることもある。ドクゼリ属は北半球の湿地に10種あり、日本には本種のみが分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]

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