木瓜(読み)ボケ

デジタル大辞泉 「木瓜」の意味・読み・例文・類語

ぼ‐け【木瓜】

バラ科の落葉低木。高さ約2メートル。枝にとげがあり、葉は楕円形で縁にぎざぎざがある。春、葉に先だって、紅・淡紅・白色や絞りの5弁の花が咲く。実は球状で夏に黄色に熟し、香りがある。中国原産で、庭木にされる。ぼっか。もけ。 花=春 実=秋》四阿あづまや此処に春ゆく―二輪水巴

もっ‐こう〔モクカウ〕【木×瓜】

紋所の名。鳥の巣が卵を包んでいるように見える図柄。また、ウリ輪切りにした形を図案化したものともいう。すだれ帽額もこうに多く用いたところからいい、「木瓜」と当てて書いた。窠紋かもん。もこう。

もっ‐か〔モククワ〕【木×瓜】

ボケまたはカリンの成熟果実。漢方で、利尿鎮痛薬などに用いる。

も‐け【×瓜】

ボケ古名。〈和名抄

も‐こう〔‐カウ〕【×瓜】

もっこう(木瓜)

ぼっ‐か〔ボククワ〕【木×瓜】

ぼけ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「木瓜」の意味・読み・例文・類語

もっ‐こうモクカウ【木瓜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 紋所の名。鳥の巣が卵を包んでいるもの。一説に、蜂の巣をかたどったもの、または瓜を輪切りにしたものを図案化したものともいう。簾(すだれ)帽額(もこう)に多く用い、木瓜とあて字した。木瓜、四方木瓜、唐木瓜、割り木瓜などがある。もこう。窠文(かもん)。〔伊京集(室町)〕
    1. 木瓜@唐木瓜@四方木瓜@割り木瓜
      木瓜@唐木瓜@四方木瓜@割り木瓜
  3. ( 常磐津節の家元の定紋が角木瓜であるところから ) 常磐津節をしゃれていった語。
    1. [初出の実例]「もっこうの娘をいつかかつぎ出し」(出典:雑俳・柳多留‐六九(1817))
  4. 天秤(てんびん)の針の尖端を取囲むに似た金属。

ぼ‐け【木瓜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. バラ科の落葉低木。中国原産で、日本では観賞用に庭などに植えられる。高さ一~二メートル。小枝にとげがある。葉は有柄、長楕円形または卵形で縁に細鋸歯(きょし)がある。四~五月に、径三センチメートルぐらいの五弁花が咲く。花は紅・淡紅・白色またはそれらの絞(しぼ)り。果実は卵形か球形で長さ約五センチメートル。黄緑色に熟す。和名は中国産のマボケの漢名「木瓜(ぼくか・ぼっか)」から。漢名、貼梗海棠。もけ。もっか。ぼっか。

▼ぼけの花 《 季語・春 》

▼ぼけの実 《 季語・秋 》

  1. [初出の実例]「転筋の病には木瓜あぶりて、さすりなづれば愈ゆ」(出典:雑談集(1305)一〇)
  2. 植物くさぼけ(草木瓜)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

もっ‐かモククヮ【木瓜】

  1. 〘 名詞 〙 バラ科の植物、ボケ、クサボケ、カリンなどの果実をさす。漢方で嘔吐(おうと)・下痢・水腫・転筋などに用いる。〔伊京集(室町)〕
    1. [初出の実例]「木瓜(モックヮ)を粉にして〈略〉脚気のいたむ所、はれたる所へひたものひくべし」(出典:諸人日用宝(1737)上)

も‐け【木瓜】

  1. 〘 名詞 〙 植物「ぼけ(木瓜)」の古名。〔本草和名(918頃)〕

も‐こう‥カウ【木瓜】

  1. 〘 名詞 〙もっこう(木瓜)

ぼっ‐かボククヮ【木瓜】

  1. 〘 名詞 〙ぼけ(木瓜)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木瓜」の意味・わかりやすい解説

木瓜(もこう)
もこう

「もっこう」「きゅうり」ともいう。御帳(みちょう)や御簾(みす)に張る帽額(もこう)とよばれる布帛(ふはく)に用いられた模様であるところから、帽額文(もん)の名がつけられたものらしい。これがちょうどキュウリ(胡瓜)を輪切りにしたときの切り口に似ているので「木瓜」の文字をあて、さらにこれを「きゅうり」とよぶようになったのであろう。元来中国の綾(あや)・錦(にしき)に使われた窠文(かもん)を和様化したものである。その形式は、花菱(はなびし)の周囲に四鐶(かん)を巡らし、これを四葉で囲んだものが基本的な木瓜文であるが、ときには鐶だけで外郭を略したもの、あるいは五鐶五葉形のものなどがある。

村元雄]



木瓜(もっこう)
もっこう

木瓜

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動植物名よみかた辞典 普及版 「木瓜」の解説

木瓜 (ボケ・ボクカ;モクカ)

学名:Chaenomeles speciosa
植物。バラ科の落葉低木,園芸植物,薬用植物

木瓜 (キュウリ)

学名:Cucumis sativus
植物。ウリ科の一年生つる植物,園芸植物,薬用植物

木瓜 (ボケ)

植物。バラ科の落葉小低木,園芸植物,薬用植物。クサボケの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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