東洋医学(読み)とうよういがく(英語表記)Eastern medicine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

東洋医学
とうよういがく
Eastern medicine

広義には東洋で発祥し,発達した医療体系のことで,中国系,インド系 (アーユル・ベーダ) ,アラブ系 (ユナニ) などが含まれる。しかし,一般的には中国系伝統医学をさし,ヨーロッパ,アメリカで体系化された現代医学の主流西洋医学というのに対して用いる。狭義の東洋医学は気と血とを人体の二大生理因子とし,中国の自然哲学である陰陽五行説を理論的支柱として組立てられた医療体系であり,患者の自他覚所見を総合した「証」に,特定の治療手段である「方」を対置させている。治療法には薬物療法,食餌療法のほかに鍼,あん摩,指圧などの物理療法がある。日本でも,5~6世紀頃に大陸から導入されて以来,長く医療の主流となっていたが,19世紀に入ると次第に西洋医学に圧迫されるようになり,明治時代には政府がドイツ医学を採用したため,在来の漢方医制度は崩壊し,東洋医学は一部の民間医師によりかろうじて命脈を保つという状態になった。しかし,近時,治療医学としての東洋医学の意義が再評価される機運にあり,加えて鍼麻酔が国際的関心を呼ぶに及んで,一般の注目を集めるにいたった。

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デジタル大辞泉の解説

とうよう‐いがく〔トウヤウ‐〕【東洋医学】

東洋諸地域でおこり発展した医学の総称。
中国から伝来し、日本で発展した漢方医学

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世界大百科事典 第2版の解説

とうよういがく【東洋医学】

漢方医学ともいう。〈漢方〉の語は江戸時代オランダから伝えられた医学を蘭方と呼んだのに対して,それまでの医学の呼称としてつくられた言葉である。中国の伝統的な医学から学んで,日本で同化し,発展させた医学をさす。近年では,西洋医学に対して,東洋医学の名で呼ばれることも多い。 中国の伝統的医学は,中医学または中国医学とも呼ばれ,朝鮮や日本,ベトナム,タイにまで影響を与え,朝鮮では東医学,日本では漢方医学という伝統医学を形成した。

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大辞林 第三版の解説

とうよういがく【東洋医学】

東洋、特に中国・インドで発達した伝統的医学。
西洋医学に対して、中国から伝来し、日本で発展した漢方をいう。 → 伝統医学

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

東洋医学
とうよういがく

広義には、東洋諸地域でおこり、発展した医学を総称するが、現在、日本で常識化している東洋医学の概念は、古代中国でおこり、発展し、日本に伝えられ、日本の風土のなかで発展した医学(漢方医学)の総称である。古代中国の黄河の流域でおこり、発展したのが鍼灸(しんきゅう)、手技(とくに「あんま」)療法であり、揚子江(ようすこう)流域およびそれ以南の地域でおこり、発展したのが漢方薬療法であるといわれる。こうしたことから、東洋医学は、薬物療法である漢薬と、物理療法である鍼灸、手技療法を総合した体系ということができる。なお日本で「漢方」とよばれるのは、明治の初めに西洋から入った「洋方」に対しての用語であるとともに、漢の時代に、北の鍼灸と南の漢薬治療の理論が総合され、体系化されたためとされる。[芹澤勝助]

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世界大百科事典内の東洋医学の言及

【体】より

…初めにいったように,東洋では精神と物質,あるいは心と身体をはっきり区別する二元論の考え方はなかった。その基礎には,東洋の宗教の修行法や東洋医学の考え方がある。たとえば,禅やヨーガや道教などの瞑想(めいそう)法や修行法は,心の働きと身体の働きが一体になった〈心身一如〉の境地を理想として追求している。…

※「東洋医学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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