江戸中期の本草(ほんぞう)学者。京都の出身。名は玄達(げんたつ)、恕庵は通称、怡顔斎(いがんさい)と号す。儒学を学び、古典の動植物を理解するため稲生若水(いのうじゃくすい)に師事。奥義を究め、本草大家となり、医学にも精通した。質素な生活とは対照的に、多数の蔵書を国書と漢書に区分し、2棟の大書庫に収め、学者の面目に徹した。1721年(享保6)幕府に招かれ薬物鑑定に従事。1726年蘊蓄(うんちく)を傾け『用薬須知』5巻を著す。動植物の品類、形態、産出の状況、方言などを記載、博物学的本草学の価値を高めた。『本草一家言』『食療正要』『桜品』『菌品』ほか著書多数。小野蘭山(らんざん)、戸田旭山(きょくざん)(1696―1769)ら著名門人が多い。没後、門人が『用薬須知後編』を刊行。恕庵の子の定庵は松典と称し『千金方薬註(ちゅう)』を著した。
[根本曽代子]
(吉田厚子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
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