デジタル大辞泉
「枕箱」の意味・読み・例文・類語
まくら‐ばこ【枕箱】
1 箱形の木枕。箱枕。
2 枕を入れておく箱。ふつう5個または10個を入れる。
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まくら‐ばこ【枕箱・枕筥】
- 〘 名詞 〙
- ① 箱形の木枕。箱枕。
- [初出の実例]「京の家にまくらはこを取りにつかはしたりければ」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑賀・一二〇九・詞書)
- ② 枕を入れておく箱。人出入の多い家業で用い、通常五個または一〇個の枕を入れるように作った。枕箪笥。
- [初出の実例]「かうがいのまくらばこにあなるかへしやり給とて」(出典:公任集(1044頃))
- ③ 小銭や日用品を入れて、枕もとなどに置いておく箱。
- [初出の実例]「枕箱跡にはせさる月の風〈西李〉 剌刀はさみ鬢水の露〈山円〉」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第九六)
- ④ 江戸時代、九州地方で使用された地方的廻船あだての俗称。船首を戸立造りとする箱型の船型が枕箱に似るところからいう。〔和漢船用集(1766)〕
- ⑤ 船中にある、上下二段に引出しのついている火縄箱のこと。客が枕として利用することが多い。
- [初出の実例]「モシ枕箱(マクラバコ)の引出しに、ほくちがござりやす」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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枕箱
まくらばこ
5個または10個の枕を入れておく箱、または木製箱型の枕に蓋(ふた)や引出しをつけて小物入れにも兼用する道具をいう。後者は、元来、長方形で中空の箱を枕としたことから、これに引出しをつけてたばこや小物入れとしても利用されたが、しだいに錠前(じょうまえ)付きのものなどが現れて、枕としてよりも金銭など貴重品の保管に用いられるようになった。
一方、漁師が船で沖へ出るときにも枕箱が携帯された。これは、菅江真澄(すがえますみ)の『小鹿(おが)の鈴風(すずかぜ)』に「横一尺あまり、煙草(たばこ)ほくす附竹、鉤などを入れ、之(これ)を夜は枕としてつゆも身を放たぬもの」と説明されているが、通常小形で中空の箱に防水・防湿のため密閉式の印籠蓋(いんろうぶた)や引出しを備え、中には火打石やマッチなどの発火具、たばこなどを入れ、横になるときには枕にも使用するものである。地方によっては、オキバコ、チゲバコなどとよび、やや大形の木箱を船に携える場合もあり、大形のものには釣り用具や網用具、弁当なども入れた。枕箱には節分に用いた豆を入れておき、海上で船が方角を失ったときに撒(ま)けば占えるという所や、賽(さい)を入れておく所もあり、この海上での呪物(じゅぶつ)に対する信仰は船霊(ふなだま)信仰につながるものがある。
[野口武徳]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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