果実の風味を生かした練り羊かんの一種で、岐阜県大垣市と広島市の名物。大垣の柿羊羹は、1838年(天保9)槌谷(つちや)4代目の右助によりつくられた。美濃(みの)(岐阜県)特産の堂上蜂屋(はちや)柿を生干(なまぼ)しにし、これに水飴(みずあめ)、砂糖を加え、寒天で煮つめて竹筒に流し込んだもので、練り羊かんというより、柿のゼリーかんといった感じである。容器が現在のような半月形になったのは、5代目祐斎(ゆうさい)のときで、短気な客が羊かんを取り出しにくいのに腹をたて、店先にたたきつけた際、真っ二つに割れた竹筒がヒントになったという。広島の柿羊羹には特産の西条柿が使われる。1897年(明治30)創業の扇屋が手がけ、このほうは干し柿を用いるところが大垣の仕法と異なっている。
[沢 史生]
…そのまま食べるほか,料理や菓子の材料にもされる。刻んだダイコンやニンジンと共におろし酢であえる〈柿なます〉,水あめや砂糖を加え寒天で固めた〈柿ようかん〉等がある。【鈴木 晋一】。…
※「柿羊羹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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