デジタル大辞泉 「渋柿」の意味・読み・例文・類語
しぶ‐がき【渋柿】
[補説]書名別項。→渋柿
[類語]柿・富有柿・次郎柿・平核無・甘百目・黒柿・甘柿
鎌倉時代の説話,書状4種を収録した一種の教訓書。編者未詳。応仁(1467-69)以降,室町時代末ごろの成立。(1)明恵上人伝,(2)文覚上人消息(将軍源頼家あて,正治2年(1200)正月ごろ),(3)(源)頼朝佐々木被下状(近江守護佐々木定綱あて,建久2年(1191)閏12月28日),(4)(北条)泰時御消息(子息六波羅北方探題北条時氏あて,安貞2-寛喜2年(1228-30)正月17日)の4種。(1)は明恵上人伝より泰時関係説話を抄録したもの。(2)~(4)はいずれも書状の中に治世修身の心得を懇切に説く。(1)(2)は単行の写本があるが,(3)(4)は本書に限られ,内容も信頼すべき貴重なものである。ことに(3)は《吾妻鏡》の逸文である。編者の意図は京・鎌倉の朝幕関係の中で生まれた治政の要道となるものを収録したのであろう。万治(1658-61)ごろの刊本に(1)の中の明恵の言葉をとって《詞不可疑(しぶがき)》と命名したが,難解なため《渋柿》の名で行われ,《群書類従》がその名で収録したため定着したが,もとは無題か。良写本がなく,字句に若干後代の改変があろう。
執筆者:後藤 紀彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
「明恵上人(みょうえしょうにん)伝」「文覚(もんがく)上人消息」「頼朝佐々木被下状(よりともささきにくださるるのじょう)」「泰時(やすとき)御消息」の4編を収める教訓書。1巻。編者、成立年代ともに不明。『群書類従』に収められている。書名は、本書の内容と無関係で、明恵上人伝中の「聖賢の詞不可疑(しふかぎ)」云々(うんぬん)とあるによる。明恵伝は、明恵と北条泰時との逸事を記したもので、明恵の仏教者としての高潔な人格を説き、文覚消息は源頼家(よりいえ)に奉った書状で治国の要道を説き、頼朝状は、子を失った臣佐々木定綱(さだつな)への教喩(きょうゆ)を内容とし、泰時消息は武士の心構えを説いている。
[森田 悌]
…
[品種]
品種数はすこぶる多く800以上といわれ,果実の形状も大きさも変化に富んでいるが,営利栽培に適するものは多くない。甘柿と渋柿に大別され,さらに渋の抜けかたにより,完全甘柿と不完全甘柿,完全渋柿と不完全渋柿に分けられる(表参照)。ただし不完全渋柿である平核無(ひらたねなし)にはふつう種子がないので果肉に褐斑がなく,品質が優秀で渋柿の代表品種となっている。…
…渋柿から得られる防腐性の液で塗料,染料に用いられる。製法は渋みの強い柿を臼でつき,それを樽詰めにして,冷暗所に蓋をして静置すると,発酵し泡立つ。…
※「渋柿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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