棚卸(読み)たなおろし(英語表記)inventory taking

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

棚卸
たなおろし
inventory taking

物品の有高を調査,確認すること。元来棚卸とは,商品を棚からおろしてその数量を実地調査し,品質を吟味し,その価額を評定することであるが,簿記上における棚卸とは,商品,製品などの棚卸資産についてだけをいうのではなく,継続企業を前提とする決算期末に数量および品質の実地調査を必要とするもの,および勘定残高の金額の修正をしなければならないものすべてについていわれる用語である。棚卸の方法には実地調査を行う実地棚卸のほかに帳簿棚卸がある。しかし帳簿棚卸によって帳簿上に示される残高は必ずしも実際の有高とは合致しないため,実地棚卸を併用して帳簿残高が実際有高に一致するよう帳簿残高を調整する必要がある。

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デジタル大辞泉の解説

たな‐おろし【棚卸(し)/店卸(し)】

[名](スル)
決算などの際に、商品・製品・原材料などの在庫を調査して数量を確かめること。資産評価を含めていう場合もある。「年度末に―する」 新年》「物陰に笑ふ鼠や―/一茶
人や物の欠点を一つ一つ数えあげて、言い立てること。「の―をする」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

棚卸
たなおろし
inventory

企業の所有する商品、原材料などの資産について、一定時点でのその保有総量(在庫有高)を確認することをいう。そのような作業の対象となる資産を、会計学では棚卸資産という。企業経営における棚卸資産は、日々受入れと払出しを繰り返しているので、その状況の正確な把握が不可欠である。そのような目的のためには、まず受払いに関する個別の帳簿を作成することが適切であり、商品有高帳や材料元帳などがそれに該当する。これらの帳簿では、購入などによる受入数量とその金額、販売や消費などによる払出数量とその金額を継続的に記入していく。購入日が異なっている場合には購入単価が異なることが通例であるから、後者の払出金額の決定については購入口別法、先入先出法、移動平均法などの方法がある。このような数量と金額の加減によって、つねに在庫している数量と金額を帳簿のうえで把握することができる。このようにして在庫有高を確認することを帳簿棚卸という。
 しかしながら、在庫有高の確認は帳簿棚卸だけでは不十分である。なぜならば、棚卸資産の保管場所(倉庫など)における在庫実数は、損傷、盗難などの原因によって物理的に減量していることがあり、また陳腐化などの理由によって実質的な意味で利用価値を失っているものもある。そこで、企業経営では、特定の日(月末や会計期末)を定めて、倉庫等の保管場所に現実に存在する資産の数量や現況を確かめる作業が必要となる。このような作業を実地棚卸とよんでいる。実地棚卸が前記の帳簿棚卸と比べて少ない場合には、その差の発生原因をしっかりと調査することが肝要であるが、このような差が生じた場合、これを棚卸減耗費(減耗損)とよんでいる。また棚卸に際しては棚卸資産の品質低下や陳腐化等の原因による価格面の下落も確認されることが多いが、そのような評価損はここにいう減耗費(減耗損)と区別される。企業経営の決算においては、このような手続によって貸借対照表に計上する棚卸資産評価額を決定することになるので、棚卸は重要な会計手続として位置づけられている。
 企業経営においては、前記のような資産に関する棚卸ばかりでなく、借入金や手形等の負債の残高を確認することも同様に「棚卸」と表現することもある。[東海幹夫]

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