家庭医学館 の解説
がいにちりずむすいみんしょうがいすいみんかくせいすけじゅーるしょうがい【概日リズム睡眠障害(睡眠‐覚醒スケジュール障害) Circadian Rhythm Sleep Disorders】
睡眠覚醒障害(すいみんかくせいしょうがい)(コラム「睡眠覚醒障害」)の1つであり、睡眠の時間帯がずれる、あるいは睡眠と覚醒のリズムが乱れるものです。
[症状]
交代勤務睡眠障害(こうたいきんむすいみんしょうがい)では、夜勤中に眠けが生じ、夜勤後、日中の睡眠が十分にとれません。
時差(じさ)(ジェットラグ)症候群(しょうこうぐん)、いわゆる時差ぼけでは、夜間の不眠、日中の眠けが生じます。
睡眠相後退(すいみんそうこうたい)(遅延(ちえん))症候群(しょうこうぐん)は、睡眠の時間帯が遅いほうへ後退して固定されるもので、毎日深夜遅くに入眠し、遅い時刻に起きます。この場合、朝の定時に登校や出勤ができないため、社会的不適応が生じやすくなります。
睡眠相前進症候群(すいみんそうぜんしんしょうこうぐん)では、睡眠相が早いほうへ前進して固定され、夕方近くに寝て、深夜に目覚めるパターンが生じます。
非24時間睡眠(ひにじゅうよじかんすいみん)‐覚醒症候群(かくせいしょうこうぐん)では、約25時間周期の睡眠‐覚醒周期が生ずるため、入眠時刻、覚醒時刻が毎日約1時間ずつ遅れていきます。
不規則型睡眠(ふきそくがたすいみん)‐覚醒(かくせい)パターンは、睡眠と覚醒のリズムが周期性を失い、不規則になるものです。
[原因]
人の脳には固有の体内時計があり、そのリズムは通常24時間周期の外界変化に同調した日内変動(にちないへんどう)、概日リズム(サーカディアンリズム) を示します。ところが、交代勤務やジェット機による時差の場合、外界の24時間周期と体内時計の概日リズムがずれ、その結果、概日リズム睡眠障害が生じます。
睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠‐覚醒症候群、不規則型睡眠‐覚醒パターンの場合は、脳内の体内時計自体の変調が原因と考えられています。
[検査]
睡眠‐覚醒スケジュールや異常行動などを記録する睡眠日誌、長時間の活動量を記録するアクチグラム、深部体温リズム測定、脳内のホルモンであるメラトニンの分泌(ぶんぴつ)リズム測定などを行ない、睡眠‐覚醒パターンやその周期性を求めます。
[治療]
朝の光刺激には、外界の24時間周期に体内時計を同調させる作用があります。
また、ビタミンB12には、光に対する感受性を増加させる作用があると考えられています。
そこで、眠け防止、覚醒維持のために、日光浴、高照度の光を照射する光療法、ビタミンB12療法を行ないます。また、睡眠を促すためには、遮光(しゃこう)や遮音(しゃおん)、短時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬やメラトニン(コラム「メラトニン」)の服用が行なわれます。時間療法は、入眠時刻を毎日少しずつずらせ、望ましい時間帯に睡眠を固定するもので、睡眠相後退症候群や睡眠相前進症候群に用いられます。