榴弾砲(読み)リュウダンホウ(その他表記)howitzer

翻訳|howitzer

デジタル大辞泉 「榴弾砲」の意味・読み・例文・類語

りゅうだん‐ほう〔リウダンハウ〕【×榴弾砲】

曲射砲の一。カノン砲に比べて初速が遅く、榴弾を湾曲した弾道で発射して遮蔽しゃへい物を越えた目標を砲撃できる。

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精選版 日本国語大辞典 「榴弾砲」の意味・読み・例文・類語

りゅうだん‐ほうリウダンハウ【榴弾砲】

  1. 〘 名詞 〙 曲射砲の一つ。カノン砲に対して、比較的初速が遅く、榴弾を空に高く打ち上げる型の火砲をいう。射程距離短いが、遮蔽(しゃへい)されて目視できない対象間接射撃をするため、遮蔽物を越えて射撃できる。
    1. [初出の実例]「金州南山には十五珊以上の榴弾砲四門九乃至十五珊旧式加農砲十門」(出典:東京朝日新聞‐明治三七年(1904)五月二八日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「榴弾砲」の意味・わかりやすい解説

榴弾砲
りゅうだんほう
howitzer

砲身長が20~40口径長(口径の20~40倍の長さ)を有し、陸上部隊が間接照準で低射角(15~45度)および高射角(45~70度)の射撃によって敵部隊などを制圧できる地対地火器。火砲の一部として位置づけられている。1680年代から臼砲(きゅうほう)と長砲身カノンとの中間の火砲として、短砲身のハウザーと名づけられて区別されている。榴弾砲は、山地等の援護物により敵を直接照準して射撃できない場合に効果を有しており、目標距離に応じて装薬を調整して射撃することができる。現在、野戦砲兵の主力火砲として、機動性、発射速度、砲弾効力、射撃精度などの観点から歩兵部隊の支援砲としてもっとも多く装備され、戦場での機動性を高めるため各種榴弾砲の自走化が進められている。一方、山岳地域での使用や輸送機からの落下傘による空中投下のための軽量化も実現している。陸上自衛隊装備の榴弾砲には、99式自走155ミリ榴弾砲(射程30キロメートル)、155ミリ榴弾砲FH70(射程通常弾24キロメートル、噴進弾30キロメートル)、203ミリ自走榴弾砲などがある。

[小橋良夫・村井友秀]


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百科事典マイペディア 「榴弾砲」の意味・わかりやすい解説

榴弾砲【りゅうだんほう】

砲身長が口径の12〜20倍で,臼(きゅう)砲カノン砲の中間にある火砲。初速,射距離は臼砲にまさり,落角の大きい曲射弾道を利用して障害物の破壊,遮蔽(しゃへい)物内の兵馬殺傷に用いる。野戦榴弾砲は口径10cm内外。ほかに陣地榴弾砲,列車榴弾砲など。
→関連項目自走砲大砲

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「榴弾砲」の意味・わかりやすい解説

榴弾砲
りゅうだんほう
howitzer

17世紀頃に一般化した火砲。カノン砲 (平射で長距離をねらう) と臼砲 (曲射で近距離) の中間の砲種として,火砲の基本的な型の一つとなった。榴弾砲は,臼砲と同じように援護物後方の目標を攻撃し,また砲台や軍艦甲板を上方から破壊するのが目的であるが,臼砲よりも弾速や射程がまさっている。近代以後,口径 10cm内外の野戦榴弾砲が戦場で重宝がられるようになった。日本の旧陸軍では,重,軽の2種類を使い,軽榴弾砲は口径 10cm,最大射程1万m,重榴弾砲は口径 15cm,最大射程1万 5000mであった。

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