横川吸虫症(読み)よこがわきゅうちゅうしょう(英語表記)metagonimiasis yokogawai

  • (感染症)
  • Metagonimus yokogawai
  • 横川吸虫症 Metagonimiosis
  • 横川吸虫症(吸虫症)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

横川吸虫の第2中間宿主である淡水魚生食し,幼虫人体の腸管に寄生した場合に起る。幼虫はヒトの体内に入ってから約1週間後に成虫になる。少数の寄生では症状はない。多数が寄生した場合,小児では腹痛下痢が激しく,成人でも頑固な下痢,食欲不振,腹痛があるし,発熱,肝腫を伴うこともある。淡水魚の生食を避け,四塩化エチレンチモール,カマラ,ビチオールで駆虫する。

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家庭医学館の解説

[どんな病気か]
 アユ、ウグイなどの川魚を生(なま)で食べ、横川吸虫の幼虫(被嚢幼虫(ひのうようちゅう))を摂取することで感染します。現在も日本では多くみられます。
[症状]
 ふつうは無症状ですが、多数が寄生すると腹痛、下痢(げり)、粘血便(ねんけつべん)がみられます。
[検査と診断]
 遠心沈澱法(えんしんちんでんほう)による糞便(ふんべん)検査を行ない、虫卵(ちゅうらん)が検出されれば診断がつきます。虫卵が小さいため、検査は注意深く行なわれます。
[治療]
 治療としては、プラジカンテルを1日内服することで、治ります。
[予防]
 川魚の生食をしないことです。とくにアユのたたきやぶつ切り三杯酢などは危険です。

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内科学 第10版の解説

概念
 横川吸虫(Metagonimus yokogawai)の感染による.現在でも偶発的に虫卵が検出される症例があるが,近年報告数は減少している.
病因・感染経路
 第二中間宿主である淡水魚(アユ,フナ,シラウオなど)の生食により感染し,小腸粘膜に吸着して生活する.組織侵入性はなく,胆管へ侵入することもない.
臨床症状
 ほとんどの症例は無症状に経過する.
診断・治療
 糞便中から虫卵を検出することで診断する.診断の確定には,駆虫後に糞便から成虫を採取して形態学的に種を同定する必要がある.多数感染で下痢などの症状を伴う際には治療適応があるが,一般的には無治療でも自然経過で成虫は排除され,治癒することが多い.治療はプラジカンテルを早朝空腹時に内服させ,2時間後に塩類下剤投与し虫体を回収する.[前田卓哉]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな感染症か

 横川吸虫症は、小腸に寄生する吸虫によって起こる病気です。前項の肝吸虫(かんきゅうちゅう)と同じように、幼虫は淡水魚のうろこや筋肉に寄生していて、幼虫をもつ淡水魚を生で食べると感染します。最も重要な感染源はアユで、シラウオやウグイなどにも寄生しています。

 幼虫は直径約0.1㎜の球形で、肉眼では見えません。成虫は体長が約1㎜で、小判型をしています。成虫は、自然界では魚を食べるほ乳類や、サギなどの鳥に寄生しています。

症状の現れ方

 ほとんど自覚症状がありません。しかし、成虫が多数寄生した場合、下痢や腹痛を起こします。

検査と診断

 便のなかから虫卵を検出します。横川吸虫が感染していても、成虫が自然に排出されて虫卵が検出されなくなることもあります。血清検査は行いません。

治療の方法

 特効薬は、抗寄生虫薬のプラジカンテル(ビルトリシド)です。

病気に気づいたらどうする

 自覚症状がないので、検便で偶然に虫卵が見つかるのがほとんどです。横川吸虫はアユやシラウオに高率に寄生していますが、ほかにも多くの種類の淡水魚に寄生していることが知られています。予防のためには、肝吸虫と同じく、淡水にすむ魚を生で食べないことが大切です。

奈良 武司

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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