扁形(へんけい)動物門吸虫綱二生(にせい)亜綱異形吸虫科に属する非常に小さな寄生虫。1911年(明治44)に横川定(さだむ)が台湾で発見し、翌12年(大正1)に桂田(かつらだ)冨士郎が命名記載、名はそれにちなむ。体長1~1.5ミリメートル、体幅0.5~0.8ミリメートルの卵形をしている。ヒト、イヌ、ネコなどの小腸に寄生し、糞便(ふんべん)とともに排出された卵は外界で孵化(ふか)せず、第一中間宿主のカワニナに食われてその体内でミラシジウムが遊出し、スポロシスト、レジアを経て多数のセルカリアを形成する。セルカリアはカワニナから水中に脱出して第二中間宿主のアユ、シラウオ、ウグイ、フナなどの淡水魚に侵入し、鱗(うろこ)の下や、一部は筋肉内などで袋に包まれメタセルカリアとなる。
ヒトなどがこのような魚を生食すれば感染し、約1週間で成虫となる。少数寄生の場合はほとんど症状が現れないが、多数寄生すれば下痢や腹痛をおこすことがある。日本、朝鮮半島、中国、台湾、東南アジアなどに分布する。アユなどの淡水魚はよく加熱してから食べることが予防の第一である。
[町田昌昭]
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