改訂新版 世界大百科事典 「樺太庁」の意味・わかりやすい解説
樺太庁 (からふとちょう)
南樺太を管轄した日本の植民地行政官庁。1905年(明治38),日露講和条約で日本がサハリン島の北緯50°以南を領有したため,占領時の樺太民政署の後身として,07年同庁官制(勅令)で設置された。所在地は08年以来豊原(現,ユジノ・サハリンスク)。長官は勅任官で,内務大臣(拓務省設置後は拓務大臣)の指揮監督を受けて法律命令を執行し,部内行政事務を管理するものとされ,18年の官制改正までは樺太守備隊司令官の兼任が認められていたが,初代の楠瀬幸彦(陸軍少将)のほかは代々文官で,内務官僚の就任を常とした。長官官房,内務部,農林部,警察部の内局と,支庁,警察署,林務署,鉄道事務所,郵便局,医院,中央試験所などの所属官署を持ち,樺太の開発を推進した。36年に判任官待遇以上の職員数は3193名。43年には内地に編入されたため,総合的植民地官庁の性格を失い,45年敗戦による樺太の喪失で解体された。
執筆者:岡部 牧夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報