橘家円喬(読み)タチバナヤ エンキョウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「橘家円喬」の解説

橘家 円喬(4代目)
タチバナヤ エンキョウ


職業
落語家

本名
柴田 清五郎

旧名・旧姓
桑原

別名
初名=三遊亭 朝太,前名=三遊亭 円好,別名=山松亭 円喬(3代目)(サンショウテイ エンキョウ)

生年月日
慶応1年 9月21日

出生地
江戸・本所(東京都)

経歴
8歳で初代三遊亭円朝の門の入り、三遊亭朝太を名乗る。明治11年円好と改名し、名古屋・大阪・京都などの寄席を廻って修業をつむ。18年帰京後、4代目三遊亭円生の引き立てで、4代目円喬となり、明治20年23歳で真打となる。本格派といわれ、人情噺にすぐれ、円朝の芸と比較されるほどの名手であった。「鰍沢」「双蝶々」などのすぐれた演出をのこす。

没年月日
大正1年 11月22日 (1912年)

伝記
落語名人関山 和夫 著(発行元 白水社 ’92発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「橘家円喬」の意味・わかりやすい解説

橘家円喬
たちばなやえんきょう
(1865―1912)

明治の落語家。円喬の名義は、江戸後期に初代船遊亭(せんゆうてい)扇橋門下から初代三遊亭円生(えんしょう)門下となった初代三遊亭円喬(生没年不詳)に始まる。2代(生没年不詳)は初代の実子。3代は4代円生の前名である。4代円喬は、本名柴田清五郎(旧姓桑原)、三遊亭円朝門下で、朝太、円好を経て23歳で円喬を襲名したが、自ら橘家を名のった。住んでいた地名から「住吉町」「玄冶店(げんやだな)の師匠」とよばれ、整然とした上品な高座で円朝に次ぐ名人といわれた。落語、人情咄(ばなし)ともに優れ、『鰍沢(かじかざわ)』『三十石』『淀(よど)五郎』『船徳(ふなとく)』『祇園会(ぎおんえ)』『三味線栗毛(くりげ)』などは絶品だったという。

[関山和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「橘家円喬」の解説

橘家円喬(4代)

没年:大正1.11.22(1912)
生年:慶応1.9.21(1865.11.9)
明治期の落語家。本名柴田(旧姓桑原)清五郎。8歳のころから初代三遊亭円朝の門に入り,朝太,円好を経て,4代目円喬となり,明治20(1887)年真打の看板を掲げた。三遊派の格調高い芸風で明治期後半には名人とうたわれ,「怪談牡丹灯籠」など円朝譲りの人情噺をはじめ,落噺,三題噺,さらに青年期の修業を生かした上方系の噺にも優れた。名人にありがちなやや狷介な人柄のため仲間内の折り合いに難があり,早くから2代目円朝と目されながら実現せぬうちに没した。<参考文献>石谷華堤「橘家円喬」(『文芸倶楽部』1903年9月号)

(山本進)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「橘家円喬」の解説

橘家円喬(4代) たちばなや-えんきょう

1865-1912 明治時代の落語家。
慶応元年9月21日生まれ。初代三遊亭円朝の門にはいり,朝太(ちょうた),円好をへて,明治20年4代円喬を襲名し橘家を名のる。「牡丹灯籠(ぼたんどうろう)」「真景累ケ淵(かさねがふち)」など人情物を数おおく演じ,円朝につぐ名人といわれた。「住吉町」「玄冶店(げんやだな)の師匠」とよばれる。大正元年11月22日死去。48歳。江戸出身。本名は柴田清五郎。旧姓は桑原。
【格言など】筆おいて月定めたり冬の宵(辞世)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「橘家円喬」の解説

橘家 円喬(4代目) (たちばなや えんきょう)

生年月日:1865年9月21日
明治時代の落語家
1912年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の橘家円喬の言及

【落語】より


[落語研究会結成]
 1897年に春錦亭柳桜が,1900年に円朝,燕枝が死去した東京落語界は,円朝没後の三遊派を統率していた4代円生をも04年に失い,上方落語界の隆盛ぶりを見るにつけても善後策をたてねばならなかった。初代三遊亭円左(1855‐1911)が,本格の噺の確立をめざして,落語・講談速記界の第一人者今村次郎に相談したことから,4代橘家円喬(1865‐1912),初代三遊亭円右(1860‐1924),初代三遊亭小円朝(1857‐1923),4代橘家円蔵(1864‐1922),3代柳家小さん(1857‐1903)とともに1905年に第1次落語研究会結成の運びとなった。こういう芸道精進から東京落語は黄金時代に入った。…

※「橘家円喬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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