欠字(読み)ケツジ

デジタル大辞泉 「欠字」の意味・読み・例文・類語

けつ‐じ【欠字/×闕字】

文章語句の中で、あるはずの字が落ちていること。また、その文字。欠け字。
文章を書くとき、天皇または高貴の人に敬意を表すため、その名前の上に1字か2字分の空白を置くこと。欠如。→擡頭たいとう平出へいしゅつ

かけ‐じ【欠(け)字】

文章・語句中で、文字、また、その一部が欠けていること。また、その文字。欠字けつじ
欠画けっかく」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「欠字」の意味・読み・例文・類語

けつ‐じ【欠字・闕字】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 文章、語句の中にあるべき文字の欠けていること。また、その文字。脱字
    1. [初出の実例]「其書様和歌非別行。定行に書之。聊有闕字」(出典:前田家本土左日記奥書(1235))
  3. 公式令で定められた書式の一つ。文章の中に、帝王または高貴な人の称号などが出た時、敬意を表して、その上を一字分もしくは二字分ほどあけておくこと。ほかに、他の行よりも高く出す形式を台頭(たいとう)、他の行と同じ高さに改行する形式を平出(へいしゅつ)という。欠如。〔令義解(718)〕

欠字の語誌

( について ) ( 1 )「台頭」「平出」と共に唐の制度から学んで大宝令に取り入れたもの。台頭は上奏文などに用いるが、日本ではそれ以外あまり見られない。平出は令の規定以来公式に行なわれたが、闕字が最も一般的。
( 2 )闕字は台頭・平出より少し軽く、平安時代以降も永く用いられたが、その用法は必ずしも厳密ではない。しかし、天皇・院・三后などの皇族には中・近世に至るまで本来の形で存続し、明治以降天皇制のもとで復活重用されるようになる。


かけ‐じ【欠字】

  1. 〘 名詞 〙 文章や印刷物で、文字、また、その一部が欠けていること。また、その文字。落字欠画の類。

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普及版 字通 「欠字」の読み・字形・画数・意味

【欠字】けんじ

不足の字。〔老学庵筆記、一〕晏書景初、一士大夫誌を作り、以て朱希眞に示す。希眞曰く、甚だ妙なり。但だ四字を欠くに似たるのみと。~集十卷りの字の下を指さす。曰く、此の處、~當(まさ)に世に行はれずの四字をすべしと。景初に家にすの三字す。實に希眞のを用ふるなり。

字通「欠」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の欠字の言及

【欠画】より

…欠筆(けつぴつ),欠字(かけじ)ともいい,闕画とも書く。中国唐代におこり,長上の者の(いみな)(実名)に用いられた文字と同一の文字を使うことを遠慮し,文字(漢字)の一画を省略することをいう。…

※「欠字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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