款状(読み)カンジョウ

デジタル大辞泉 「款状」の意味・読み・例文・類語

かん‐じょう〔クワンジヤウ〕【款状】

官位恩賞などを望み、または訴訟趣旨を記した嘆願書かじょう
「九条相国伊通これみち公の―にも、ことなる事なき題目をも書きのせて、自讃せられたり」〈徒然・二三八〉

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精選版 日本国語大辞典 「款状」の意味・読み・例文・類語

か‐じょうクヮジャウ【款状】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「款」は誠の意。「かんじょう」の撥音「ん」の無表記 ) 官位などを望んだり、または訴訟したりする時の嘆願状。願書。かんじょう。
    1. [初出の実例]「山門横川の衆徒、款状(クヮじゃう)を捧げて、禁庭に訴ふる事あり」(出典太平記(14C後)一)

かん‐じょうクヮンジャウ【款状】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「款」は誠、誠を述べるの意 ) 官位や恩賞を望み、または訴訟などをするときの嘆願書。かじょう。
    1. [初出の実例]「武蔵権史生屋代直行欵状偁」(出典:類聚三代格‐五・貞観一四年(872)五月二日)

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改訂新版 世界大百科事典 「款状」の意味・わかりやすい解説

款状 (かじょう)

古代中世の古文書様式の一つ。申文(もうしぶみ)ともいう。官人・僧侶位階官職叙任昇進を望むため,自己の経歴功績,あるいは祖先のことを書いた自薦の文書。平安時代初期からあり,はじめは申文といわれ,鎌倉時代ころから款状というようになった。〈款〉は偽りなく誠を尽くすの意。書式は書札様で,書出し・書止めともに丁重な文言を用いた。平安時代の名文家によるものは《本朝文粋》などにも収められた。
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世界大百科事典(旧版)内の款状の言及

【申文】より

…公式様(くしきよう)上申文書である(げ)が冒頭に〈何某解申……事〉とあるのが,しだいに〈何某申……事〉と変化し,名称も解(解文)から申文に変わったといわれる。中世以降は申文というと,とくに官人が叙位・任官や官位昇進を希望して,朝廷に申請する款状(かじよう)をさしていうようになった。この申文は個人のもののほか官司が所属の官人の昇進や兼職を推薦するものもあった。…

※「款状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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